2018 Fiscal Year Annual Research Report
自然物の見えを考慮したLED照明デザインに関する研究
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17H01947
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
奥田 紫乃 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (60352035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境デザイン / 照明 / LED / 色彩の見え / 質感 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然物として、人の顔の肌、および内装材に着目して各種実験を実施した。人の顔の肌の見え方評価においては、これまで化粧肌のみを対象とし、対象物の色彩を精確に再現したデジタル画像を生成して評価実験を実施していたが、本年度は、肌の色の異なる人の顔(実物)を視対象とし、素肌の場合を条件に加えて、主観評価実験を実施した。視対象の提示方法による評価への影響は特に見られないことが確認され、これまでと同様の評価傾向が得られたが、これまでに得られた知見とあわせ、唇と肌との同時色対比による影響が見られることから、この点についてさらに検討をすすめたいと考える。内装材の見え方評価においては、木材や石材、れんが、畳などの内装材に着目し、これらのサンプルを種々の分光分布をもつ照明条件下で提示し、色の見えの自然さ、光沢感、柔硬感、粗滑感、温冷感などの印象や、照明の好ましさについて評価させた。その結果、内装材の見えが好ましさに大きく影響し、木材や石材などの内装材の種類により、好ましい照明条件が異なることが示された。一方、一部の木材・石材については、多数とは異なる傾向を示すものもあり、さらなる検討が必要であることが示された。また、布を対象とした主観評価実験では、LED光源の特徴の一つである指向性に着目し、拡散・指向性の違いによる布表面の質感評価に与える影響について検討した。拡散・指向性の違いが評価に影響することは示されたものの、条件の設定方法などにさらなる改善の余地がみられる。さらに、光色変化時の色順応過程に関する検討として、ipRGC作用量の変化に着目した実験を行ったが、これらの結果についてもさらに丁寧に分析する必要があると考える。なお、光色変化時の色順応過程に関する検討、化粧肌の見えに関する検討、内装材と照明が室空間の印象に与える影響については、照明学会、国際色彩学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究補助員をアルバイト雇用したことより、これまで分析できていなかったデータを分析することができた。特に、化粧肌の見えに関する膨大なデータを整理・分析できたことにより、これまでに得られたデータを横断的に概観することが可能となり、今後の研究方針をたてるうえで大いに役立った。その他、内装材などについても順調に検討が進められていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前々年度に実施した調理品・加熱調理食肉の実験結果、および前年度に実施した肌・内装材・布地の見え方と照明条件との関係について、色彩 の見えや質感の観点から結果分析を行い、結果について国際学会を中心に発表する。また、肌の評価手法については、これまでの知見から顔の肌の見え方を評価する際には唇(口紅)の色による影響を無視できないことが示されていることを考慮し、新たな実験を実施する。また、木材やインテリアファブリックス等の内装材に関する検討について、内装材の種類をさらに増やし、前年度に購入した光源を用いて種々の照明分光分布条件を設定し、材料そのものの視覚評価、質感評価を実施し、結果を分析する。なお、照明の分光条件の設定について、使用している機器(光源)の調光ソフトの精度に限界があり、条件設定に時間を要している。これは主観評価実験を実施する際にも大きな障害となり得るため、今後はソフト部分を別途デザイン(外注)するなど、円滑に条件設定できるよう工夫する必要がある。
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Research Products
(5 results)