2019 Fiscal Year Annual Research Report
自然言語で介護スタッフの“ケア知”を補完する知的情報システムの構築と施設への導入
Project/Area Number |
17H01950
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中山 功一 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (50418498)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 千佳 佐賀大学, 理工学部, 客員研究員 (10395147)
大村 廉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10395163)
杉原 太郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50401948)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高齢者生活 / 介護支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
「人の心身の状態にいち早く気づき,適切に対応する知」を「ケア知」と定義し,介護の現場でスタッフの「ケア知」を補完するシステムを研究開発している.そのために,人の行動を把握するセンサネットワークを構築している[課題1].被介護者の心身の状態を推定し,ロボットが状態に応じた適切な介入(声掛け)をしている.それを見た介護スタッフは,被介護者の状態に気付くことができる [課題2].介護の現場での実証実験を重ねることで,社会的課題を顕在化し,現場へのロボットの導入要件を明らかにしている[課題3]. 2019年度は,OpenPoseで検知した人の行動から,心身の状態の推定/予測について取り組んだ.また,音声対話で,音高と音量データのみから,違和感のない相槌をするロボット:CATAROの研究に取り組んだ.高齢者の状態の記録を通して,介護職員の感情の変化を追跡した.介護記録に対して,形態素解析の技術を用いて単語抽出し,独自のコーパスを作成した.このコーパスを用いて感情に関する単語をラベリングし,ネガティブとポジティブな単語の出現傾向を分析した.その結果,終末期に現れる体調の乱高下を早期に捉えるための指標として機能する可能性を示唆した.さらに,センサネットワークの代替手段として,複数台のカメラの差分検知とディープラーニングを使って,動かしたものの全てを記録するシステムを開発した.例えば,「3日前に机の上に置いてた本はどこ?」と音声で聞くと,その本と動かした場所が表示されるシステムの開発に取り組んだ. これらの研究成果により,介護の現場におけるスタッフと被介護者の双方の精神的な負担を軽減し,過ごしやすい介護の現場の実現の可能性が見えつつある.また,これらの研究成果は,複数の査読付き国際会議論文に採択され,国内の研究会でも複数,発表している.これらから,学術的にも評価されていると言える.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標に向けて,3つの課題のそれぞれについて,研究開発が進んでいる.また,複数の査読付き国際会議論文に採択されるなど,学術的な成果も出ている.これらより,おおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度に開発したシステムをベースに,OpenPoseを組み合わせた行動ラベルの半自動抽出や,音声認識(音量/音高認識)による気分推定技術,自然言語による問いかけで過去のデータを検索する技術,などの研究開発およびデモの作成に取り組む.また,リハビリの中で高齢者の運動機能評価を同時に行えるようにする予定である.
|
Research Products
(7 results)