2018 Fiscal Year Annual Research Report
Authenticity of premium honeys by multi-component analysis to prevent food disguise
Project/Area Number |
17H01960
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 陽二 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (30305693)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 朱里 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (30724463)
生城 真一 富山県立大学, 工学部, 教授 (50244679)
中村 宜督 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (60324381)
中村 俊之 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (90706988)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 蜂蜜 / 成分分析 / 認証 / 代謝 / 生体利用性 / 機能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
UHPLC多波長検出器PDA及び液体クロマトグラフィー質量分析器(LC-MS/MS)による国内外の蜂蜜成分の多成分分析に関しては、校正に使うための内部標準物質の検討を進めたところ、UV検出及び質量分析のいずれにも利用可能なForchlorofenuronを用いる予定である。 加熱調理・処理に伴うマヌカ蜂蜜の成分変化について検討したところ、加温・加熱に伴い、蜂蜜中の特定の成分(メチルグリオキサール(MGO)及び2'-methoxyacetophenone (MAP))が減少し、一方で加熱指標であるヒドロキシメチルフルフラールHMFは増加した。特にMGOは機能性成分として期待される物質であり、その成分減少は大きな問題となる。一方で、配糖体レプトスペリンなど、加熱に安定な成分もあり、添加した蜂蜜の量を保証する指標の一つとなることが期待される。成分変化の少ない手法でマヌカ蜂蜜入りのグミを試作も行った。 生体利用性・機能性発現機構に関しては、マヌカ蜂蜜に豊富に含まれるレプトスペリンの代謝について、培養細胞及び動物を用いた検討を2017年度より継続して進めた。培養細胞によるレプトスペリンの代謝物として、メチルシリンゲート、及び、メチルシリンゲート代謝物であるシリング酸、グルクロン酸・硫酸抱合体も認められた。レプトスペリンを投与したマウス血中からもメチルシリンゲート及びシリング酸をLC-MS/MSによりUHPLC-四重極型タンデムマスを用いて新規に検出定量した。マクロファージ系細胞による脱抱合反応も確認した。また、レプトスペリンは培養細胞では分解されず、ある種の細菌群により糖鎖が切断されてメチルシリンゲートを生じることを見出した。このため、生体内においてレプトスペリンは大腸で分解を受けると予想され、腸内細菌叢を介してその機能性を発現していることが予想される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蜂蜜成分の分析については、UHPLC多波長検出器PDA及び質量分析器を用いた解析を継続して進めている。多検体を網羅的に分析するには、機器・カラム劣化や溶媒調製の差異を補正するための適切な内部標準物質を選定する必要性を感じている。内部標準の候補分子Forchlorofenuronについて実用上問題が無いか、検討中である。また、PDAのピーク(UV-Vis波形)や既知化合物との比較だけでは物質の同定が困難である場合もあり、2019年度では精密質量分析器Q-TOF(四重極-飛行時間型タンデムマス)も用いる予定である。 UHPLC-PDA及び質量分析器を利用した加温・加熱に関わる蜂蜜中の成分変化については、予定を上回り大きく進捗しており、特定成分の減少機序にも迫りつつある。日本フードファクター学会、日本農芸学会や韓国におけるシンポジウムにおいてもその成果の一部を発表した。2019年度中にも国際学会での発表を予定しており、また学術論文としても投稿予定である。 マウスや培養細胞を用いた蜂蜜成分(配糖体)の代謝研究については、脱抱合反応との関連について新たな知見が得られており、一端、体内で抱合された代謝物でもマクロファージなどによりグルクロン酸抱合体は脱抱合されることを見出した。つまり、炎症部位で脱抱合体(アグリコン)として存在する可能性がある。脱抱合により生じるメチルシリンゲートやその代謝物シリング酸はいくつかの機能性が報告されている分子であり、メチルシリンゲートやその配糖体であるレプトスペリンの機能性は、代謝物シリング酸を介して発揮されている可能性も示唆される。代謝については、腸管モデル細胞(Caco-2)を用いた検討を進めており、そのデータが得られ次第、これまでの成果と合わせて2019年度内に論文投稿を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
UHPLC多波長検出器PDAや四重極-飛行時間型Q-TOF質量分析器(あるいはタンデム四重極型)を用いた国内外の蜂蜜の多成分分析・解析を行い、データを蓄積する。百花蜜が多い国産蜂蜜は成分が複雑であることが予想されるが、分析時に適切な内部標準物質を組み込むことで、精密かつ再現性の高い分析を目指す。 蜂蜜機能性成分の代謝解析では、マヌカ蜂蜜に豊富に含まれるレプトスペリンとそのアグリコンであるメチルシリンゲート代謝の検討を引き続き進める。それぞれの体内動態を明らかにしつつ、2019年度は主に腸内細菌叢との関連に焦点をあてる。マウスを用いて、体内の代謝物を検出定量し、その動態解析に合わせて腸内細菌叢の変動を糞便(DNA 解析)や尿(インドキシル硫酸分析)などを試料として調べる。また糞便中の短鎖脂肪酸なども調べることで、腸内細菌を介した蜂蜜の機能性を明らかにしたい。また、pilot研究となるが、ヒト試験(日常的な蜂蜜摂取量)による代謝、機能性や腸内細菌叢に与える影響についても予備的に確認したい。 培養細胞を用いた機能性解析については、Caco-2、HepG2、RAW細胞株を用いた分子レベルでの検討を引き続き行う。特に、マヌカ蜂蜜に豊富に含まれるメチルグリオキサールMGOは生体異物でもある点に着目し、成分による細胞応答についても分子生物学及び生化学的手法により検討する。蜂蜜に含まれる複数成分の同時吸収代謝が、それぞれの代謝(例えばglyoxalase系によるMGO代謝)に与える影響についても検討したい。 加熱調理・処理に伴う蜂蜜成分の変化に関する研究を更に進め、蜂蜜二次産品(商品)にどの程度の蜂蜜が添加されたのか「成分量で認証」する仕組みを構築する。成分を損なわない加工調理法・製造法を開発できれば、上述のpilot研究でも蜂蜜投与物として利用可能となる。
|
Research Products
(6 results)