2018 Fiscal Year Annual Research Report
食感日本語表現の多言語辞書作り-食感表現学習教材セットの創作も目指して-
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17H01961
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小竹 佐知子 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (60233540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 和子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313304)
宇野 良子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396833)
小松 祐子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90361295)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食感 / オノマトペ / 多言語食感対照表 / 音象徴 / 辞書 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品を食べた時の食感表現のうち、「バリバリ」や「ねちゃねちゃ」といったオノマトペ(擬音語・擬態語)表現と「かたい」「コシが無い」などの一般表現が、日本語以外の言語を母国語(英語・独語・仏語・中国語)とするパネリストによりどのように表現されるか食感表現を収集し、日本語-非日本語間の食感対照表を作成することを目的として以下の実験・調査を実施した。 さまざまな物性特性と各種食感表現を呈する食品の選定を行い、破断強度の大小を理解するバリ~パリ系の煎餅とボキッ~ポキッ系のプリッツ、粘稠性強度の大小を理解するグニャ~クニャ系のグミとネチョ系のゼリー、弾性強度を理解するフワ系のスポンジケーキ、油分・水分バランスを理解するカリカリ系のベーコンを調製し、日本語話者、フランス語話者、ドイツ語話者、中国語話者からの食感表現を採取し、また、各試料の各物性特性および咀嚼中の香気量を測定している。各言語によって、言葉の種類数、使われる頻度に違いが見られ、各物性特性における食感表現使用範疇の特定が進められつつある。 上記実食データの収集と同時に、各言語のこれまでに出版された辞書類を集め、収載されている食感表現の整理抜粋を進めることで、食感表現の実食に伴う表現と、慣習的な使用表現との間の相違をまとめつつある。なお、辞書類の調査は、過去の版を入手できるものは、時系列変化も考察し、食感表現の消長についても焦点を当てる。 一部解析結果をトロントで行われた研究会(Conference on the Language of Japanese Food)にて“Which crackers are you talking about?:Analysis of Japanese mimetics for imagined food textures”で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に選定終了した企業依頼の煎餅類(亀田製菓株式会社製)とグミ類(株式会社明治製)に関しては、煎餅類について国内在住ドイツ語話者(10名)、フランス語話者(26名)、中国語話者(26名)の食感表現収集が進み、グミ類については咀嚼モデル装置による香気放散量・物性測定が終了した。また、棒状試料(プリッツ試料、江崎グリコ株式会社)の選定では7段階の破断強度の試料を得るに至り、香気放散・物性測定が終了した。企業に依頼を予定していた試料がすべて選定終了し(煎餅類、グミ類、プリッツ類)、それぞれのデータ採取が進捗していることから、企業との共同研究体制は構築完了したと考えられる。研究室内調製のスポンジケーキ類(7段階の弾性、一部市販品を含む)およびゼリー類(7段階の粘性)では異なる物性値となる配合を決定し、物性測定および日本語話者による食感表現の収集が終了した。学内調製の試料(スポンジケーキ類、ゼリー類、ベーコン類)についてはH30年度中に配合割合等の決定が終了し、データ採取が進捗した。 フランス語、ドイツ語、中国語話者の国内在住パネリストの登録が進み、今後の種々試料についてのデータ採集の態勢が整えられた点は大きな進展であったが、履歴書提出、謝金支払の銀行口座提出では、日本語とは異なる数字表記法などによる不明瞭書類も多発し、事務処理の効率化方法も考える必要が出てきた。また、既に採取した英語圏のデータについての取りまとめを行った。 この他、上記、独、仏、中国語および日本語の食感表現に関連する資料の収集を進め、日本語辞書8種(『広辞苑』1~7版を含む)、フランス語“La Petit Robert”、中国語『現代漢語詞典』(1~7版)掲載の食感表現の抜粋整理が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
未選定の試料炭酸飲料(研究室内調製、シュワシュワ系)について、引き続き試料調製を実施し、交付者が開発した、咀嚼モデル装置を用いて、試料からのフレーバーリリースデータを構築する。残りのデータ収集を2019年8月までに進め(仏、独、中国語の一部煎餅、3言語のグミ、プリッツ試料)、全データの統括まとめを実施する。 資料調査では、各言語の辞書・辞典・事典に掲載された食感表現の食品物性ごとの分類整理を進め、また、複数版が入手できる資料(日本語『広辞苑』と中国語『現代漢語詞典』)に関しては、経時変化についての考察も進める。
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Research Products
(3 results)