2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of e-learning materials for scientists' visual communication design
Project/Area Number |
17H01974
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 佐代子 筑波大学, 芸術系, 教授 (10326415)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 麻己人 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50254941)
三輪 佳宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70263845)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ビジュアルデザイン / 科学コミュニケーション / デザイン教育 / サイエンスビジュアライゼーション / 情報デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究者のビジュアルコミュニケーションデザイン能力を育成するためのeラーニング教材を開発している。そのために平成29年度は以下を実施した。 1. 現状の把握と方法の検討 (1)現在、国内の教育機関に導入されているeラーニング教育支援システムの現状を、その管理システムも含めて調査し問題点を把握した。(2)eラーニング教材全体の構成方法、静止画・動画・音声・文章など情報の提示方法、達成度を評価するためのテスト方法などを調査し、本教材に相応しい方法を検討した。 2. 制作教材の概要 (1)教材の構成:教材「基本編」は全10回(1回90分)から成る。各回とも視聴映像、演習課題、ドリルといった3つの教材で構成することにした。(2)管理システム:映像の視聴、演習課題の提供や提出、ドリルの実施は筑波大学に導入されている学習管理システムmanaba(朝日ネット)を用いることにした。(3)教材の内容:平成29年度は教材「基本編」前半の「第1回:はじめに、PowerPointで描く1」、「第2回:PowerPointで描く2」、「第3回:色」、「第4回:グラフ」、「第5回:図解と表」を制作した。いずれもスライド、ポスター、論文等の研究発表資料での使用を前提とし、具体的な事例を用いた教材を制作した。能動的に楽しく知識を習得できるよう、視聴映像における文字や図のデザインや提示方法、ナレーション、時間設定を工夫した。(4)制作方法:教材の原稿は研究代表者がPowerPointで作成し、ナレーションも録音した。映像編集作業は非常勤職員や短期雇用の大学院生が行った。(5)仮検証:第1回~4回までの教材案を大学院生3~4名を対象とした模擬授業で仮検証し、その結果をもとに教材を修正した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 教材内容の充実:研究代表者が執筆した「科学者のためのビジュアルデザインハンドブック」(講談社、2013)の内容を適用して「基本編」教材を制作する予定だった。しかしeラーニング教材として十分な内容にするためには、大幅に変更する必要があった。特に「第5回の図解と表」の「図解」は研究者のニーズが高まっており、本教材にも加えることにしたが、新たに内容を検討したため多くの時間を費やすことになった。 2. 映像メディアとしての工夫:視聴映像はハンドブックのような紙媒体と異なり、ナレーション原稿や録音、文字・図の動き、時間配分など、予想以上に工夫が必要だった。 3. 模擬授業による仮検証:検証は全10回を完成後、平成30年度に行う予定だった。しかし想定外の大幅な修正を回避するため、大学院生3~4名を対象とした模擬授業で仮検証を行った。第1回~4回の教材を仮検証したが、特に全体構成と時間配分に問題点が見出され、全般的に教材を修正することになった。 4. 全体構成と時間配分の修正:検証前は【映像を視聴し演習課題を制作】(20~30分)を2回に分けて行い、最後に【ドリル】(10分)を実施していた。しかし【映像視聴と演習課題の制作】を3~4回に分けて行ったほうが、受講者の集中力が持続することが仮検証により明らかになったため大幅に修正した。 5. 平成29年度までに検証用の「基本編」全10回の教材を完成させる予定だったが、上記のような理由により前半のみを制作をした。結果的には平成30年度以降に、全10回分の教材の大幅な修正を行うよりも、効率的な作業進行になったと言えるだろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 推進方策の概要:平成30・31年度に予定していた「応用編」は「基本編」に比べるとニーズが見込めないことが予想された。そのため「応用編」は制作せず、その分のエフォートを「基本編」の完成度を高めるためと、学術的な成果を公表するために使用する。これにより当初予定していたよりも、短時間で教育効果の得られる充実した内容の教材になり、学術的にも価値のある成果が得られるだろう。 2. 平成30年度の前半:「基本編」教材の後半を制作する。後半の内容は「第6回 フォントと文字組」、「第7回 レイアウト」、「第8回 スライドのデザイン」、「第9回 ポスターのデザイン」、「第10回まとめ・テスト」である。それぞれ大学院生3~4名を対象とした模擬授業による仮検証を行い、問題点を把握し、教材を修正する。 3. 平成30年後半:(1)筑波大学大学院共通科目授業「研究のビジュアルデザイン」(受講者約40名)で「基本編」全10回分の教材を検証する。検証は経過観察(研究協力者・連携研究者も参加)の他、各授業後に受講者へアンケート調査を行う(筑波大学芸術系研究倫理委員会の承認を得て行う)。(2)検証結果をもとに問題点をまとめ、教材の修正に反映させ完成度を高める。 4. 平成31年度の後半:(1)検証結果を論文にまとめ、『デザイン学研究』(日本デザイン学会)や『科学教育研究』(日本科学教育学会)へ論文を投稿し、学術的な成果を公表する。(2)国際学会IASDR 2019にへも投稿し、国際的にも学術的な成果を公表する。 5. 平成31年度の後半:(1)授業を実施する教育者が授業目標・進行方法、評価方法等、「基本編」の教材全体を理解し、指導できるようなマニュアルを制作する。(2)国内の教育者・研究者に教材を無償で広く提供するための方法を検討する。
|