2017 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル対応型STEM高等教育の国際比較を通した頭脳循環プログラム開発研究
Project/Area Number |
17H01986
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山田 礼子 同志社大学, 社会学部, 教授 (90288986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 拓也 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (40452304)
杉谷 祐美子 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (70308154)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | STEM / STEAM / 文理融合 / 科学技術政策 / グローバル・コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
現在のグローバル化と知識基盤社会において、世界の高等教育政策はSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)領域におけるイノベーションにつながる教育プログラムの充実化を唱っている。本研究では、科学技術・高等教育政策とSTEM教育プログラムを国際比較の視点から検証し、STEM人材に求められるグローバル・コンピテンシー(以下GC)を学際性および21世紀型教養の専門教育への融合という視点から定義する。そのために、築いてきた学生調査研究の知見と学習成果の国際共同研究ネットワークを活用して、複数国において学生調査と教員調査を実施する。文献研究、国内外の事例研究の知見を参照しつつ、STEM人材のGCを獲得するための頭脳循環プログラムを国内外の文理融合から成る共同研究者とともに開発することが本研究の目的であるが、初年度にあたる平成29年度は、このうち、各国の科学技術政策に関する文献研究、各国のSTEM高等教育政策の動向、各国のSTEM大学プログラムの実際と課題等についてを訪問調査等から明らかにすることを訪欧として挙げていた。文献による科学技術政策の動向については、米国のPCAST、オーストラリアのChief Scientiest,英国のHouse of Lords等を中心に把握した。訪問調査は、シンガポール、ドイツ、台湾、オーストラリアに実施し、教員へのインタビュー調査も実施した。なお、GCを育成するためのプログラムとして機能しているスタンフォード大学BOSPプログラムの日本センターでの活動、リーディング大学院プログラムのひとつである筑波大学エンパワーメント情報学プログラムについての調査を実施することができた。1年目の調査実績をベースに2年目後半に実施する予定のGC獲得のための各国比較質問紙調査の方向性をメンバーで確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「グローバル対応型STEM高等教育の国際比較を通した頭脳循環プログラム開発研究」の平成29年度においては、各国の科学技術政策と高等教育政策の関係を文献研究および各国の大学教育関係者、STEM関係研究所等への訪問調査から明らかにすることを目的、方法としていた。研究会を3回開催して、1回目の研究会では、平成29年度の方針をメンバーで確認した。7月に実施した第2回目の研究会では、異文化を核としたスタンフォード大学日本センターにおけるBOSPプログラムについてスタンフォード大学日本センター所長を招聘して議論を行った。なお、7月には研究代表者と連携研究者によりシンガポールの大学に訪問調査を行い、イノベーションを生み出すための新たな戦略とプログラムについての実態調査を行った。8月にはドイツのベルリン工科大学、フンボルト大学等への訪問調査を行い、ドイツにおけるSTEM政策と研究との関係、教育との関係についえ訪問調査を行った。なお、3月には連携研究者による台湾への訪問調査が実施され、台湾におけるSTEMの動向についての調査が行われた。2月には研究代表者と連携研究者によるオーストラリア、メルボルン大学、ディーキン大学への訪問調査が行われ、オーストラリアにおけるSTEM高等教育政策の動向と大学での文理融合プログラムの実態や課題についての訪問調査が行われた。台湾・オーストラリア調査の内容については、3月に実施された第3回研究会において議論され、同時に日本の文理融合プログラムとして進捗しているリーディング大学院プログラムの事例についての発表も行われた。これらの実績をもとに、2年目に実施する予定の国際比較グローバル・コンピテンシー質問紙調査の方向性について確認をした。STEMと高等教育政策についての文献および訪問調査による研究はおおむね予定どおり進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたる平成29年度は、以下のような研究計画を立てている。 1)学習成果測定理論研究を進める。 2)国内外の訪問調査も引き続き実施する。米国(MIT)、ドイツ(3名程度)等を対象にする。国内では、先進的な学際性を融合したプログラムを導入している大学をリストアップし(筑波大学、大阪大学等)、2校程度の訪問調査を実施する。 3)理論研究、政策研究、訪問調査という3側面からの知見を反映しつつ、過去開発してきたJSAAP調査の項目を参照しながら、H29年度の研究で明確にしたGC概念を組み入れ、3か国の大都市での大学卒業者(STEMと人文・社会科学系)を対象にしたウェブによる質問紙調査を実施する予定である。対象とする国、地域は日本の東京、米国の西海岸、中国の北京を予定しており、対象者は大学のSTEM系と対象群としての人文・社会科学系卒業者35才前後を予定している。その際、STEM系では学部と大学院の差異がそれほどないことも鑑みて、大学院卒業者も対象とする。おおよそ2000名ぐらいを目標に実施する。 4)政策研究、訪問調査結果を全員分担で国際会議、国内会議等で発表する。
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Research Products
(11 results)