2018 Fiscal Year Annual Research Report
バイオメトリクスおよび人工知能技術の導入による公正で安全なオンライン試験の実現
Project/Area Number |
17H02000
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
小方 博之 成蹊大学, 理工学部, 教授 (20349161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 大吾 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00386624)
安田 晶子 成蹊大学, 理工学部, 助教 (30573133)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | オンライン試験 / 不正行為検出 / 眼球運動 / 替え玉受験 / タブレット型受験端末 / 匿名加工 / 腕時計型端末 / ヘッドマウンテッドディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には(1)「眼球運動特徴を利用した聴覚利用型不正行為検出法の拡張」、(2)「タブレット型受験端末使用時の替え玉受験の検出法の拡張」および(3)「データの人物識別能力および匿名加工処理」に関する研究を課題として実施した。 課題(1)では前年度に基礎的な読解作業において不正行為検出可能なことを確認できたことから、読解以外の作業や、より実際に近い条件での読解作業の条件での有効性を検証した。読解以外としては計算問題を解く作業を採用した。また、より実際に近い条件の読解作業として、難易度を被験者(大学生)のレベルに上げた問題文と、長さを通常の出題に合わせて長くした問題文を使用した場合の作業を採用した。いずれの条件でも不正行為の検出可能性を確認できた。 課題(2)では前年度までにジェスチャ開始位置を固定した条件でタブレット操作中の手指形状や動作から替え玉検出可能なことを確認できたことから、開始位置の制約を取り払い検出する方法を2通り検討した。ひとつめの方法では従来と同様にカメラを用いるが、判別に深層学習を利用した。もうひとつの方法では、最近普及の進みつつある腕時計型端末を受験者の腕に装着してもらい、そこから得られる加速度センサ信号の特徴を利用した。それぞれタップおよびスワイプジェスチャにおいて替え玉検出可能であることを確認し、手法の有効性を実証できた。 課題(3)では新規の課題として、個人認証以外の目的で処理された行動データが個人性を有するか確認することを行った。データから特徴抽出を行い機械学習にかけたところ、個人性を有し、個人識別が可能であるとの知見が得られた。 また、当初予定していなかったが、視覚利用型不正行為の防止法としてヘッドマウンテッドディスプレイを用いることの影響について検証した。実際に被験者実験を行い、強化現実型の装置を用いた場合には影響が見られないことを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題(1)と(3)は当初の計画に沿って順調に進めることができた。課題(2)については2通りの方式について検討することができ、当初の計画以上に進展した。また、当初の計画には含まれていなかった視覚利用型不正行為の防止法に関する課題に取り組むこともできた。これらを勘案し、全体としては当初の計画以上に進展したと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
公正なオンライン試験の実現をめざし、バイオメトリクスに加えて人工知能技術の導入も達成し、成果を得た。今後は平成30年度に行った課題に引き続き取り組み、さらなる展開を進めたいと考えている。 ①眼球運動特徴を利用した聴覚利用型不正行為検出法:平成30年度は読解問題、計算問題に関して、単一要因を考慮した場合について検討を行った。今後は要因が複合し眼球運動がより複雑化する場合や、読解問題・計算問題以外の問題について検討を進めていく。 ②タブレット型受験端末使用時の替え玉受験の検出法:平成30年度は2つの方法を検討した。腕時計型端末を使用した方法については、ジェスチャ位置や環境の影響を受けにくいものの、タップ等のジェスチャにおいて加速度パターンに個人差が出にくく、判別しづらいとの知見も得ている。したがって、今後はカメラを使用した方法に絞り、環境を変化させた場合等の判別課題に取り組む。 ③データの人物識別能力および匿名加工処理:平成30年度には、通常の方法で加工されたデータには一定の個人情報が含まれていることを示した。今後はその結果を受けて、匿名加工の方法を検討し、その加工によって生じる影響の評価を行っていく。
|
Research Products
(9 results)