2018 Fiscal Year Annual Research Report
IoT契機の第四次産業革命と産業技術基盤の再編に関する産業間比較研究
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17H02007
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田口 直樹 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60303252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 浩史 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (10213357)
伊藤 亜聖 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60636885)
粂野 博行 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (80319590)
西岡 正 兵庫県立大学, 経営研究科, 教授 (90369116)
三嶋 恒平 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 准教授 (90512765)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | I o T / PLC / Industrie4.0 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、以下の調査・研究を行った。第一に、I o Tの経営的実態に関する国内調査である。クラウド情報システムのツールを提供する企業への実態調査である。とりわけPLCに関するシステムの現状と課題について調査し、1980年代からの日本企業のグローバル化に伴う日本本社との同期的管理のシステム構築の必要性から当該分野における日本の製造業の優位性が明らかになった。また、システムのプラットフォームの日本と欧米では異なることから日本企業が特に欧州へグローバル展開する際にこの問題が参入障壁になっていることが明らかになった。第二に、ドイツにおけるI o TおよびIndustrie4.0の取り組みに関する実態調査である。とくに中小製造業への影響について調査を行い、ドイツ的なサプライヤーシステムが質的転換を迎える程のインパクトをまだ持ち得ていない実態が明らかになった。一方で、第一で指摘した異なるシステムを統合するようなサービス技術を提供する企業が有象無象に出てきており、当該分野における一つの市場を形成しており、システムのグローバル統合に向けて少なからず影響を与える存在になる可能性があることも明らかになった。第三に、中国におけるI o Tに関する実態調査である。人件費の高騰や環境規制などで経済環境が劇的に変化する中で、情報システムの活用が不可欠になってきている現段階で、膨大な投資能力を背景として、深セン地域ではAI技術を軸に次世代技術の研究開発を旺盛に進める一方で、製造業の現場レベルでは情報システムを十分に生かしきれていない実態が明らかになった。すなわち、生産管理の5Sをはじめとする基本活動が定着しているとはいえず、ヒューマンレベルでの生産管理活動の定着なくしては情報システムの活用は十分に機能しないことが仮説として明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実態調査においては、本年度も主に、中国、ドイツ、アメリカ、日本を対象としてきたが、中国、日本に関してはこれまでの調査実績があることからその延長線上で実態調査が出来ている。本年度は、ドイツの調査を本格的に開始し、ギーセン大学との共同調査等も行うことが出来、ドイツにおけるI o TおよびIndusitrie4.0の取り組みに関する業界レベルので認識およびドイツ研究者の評価等を調査・交流することができ、今後の調査論点を絞り込む上での有益な調査が出来た。また、中国に関しても、精華大学との共同調査を深センで行うことができ、中国におけるAIを中心とする情報化の取り組みに関する政策的方向性について、実態を含めて調査することができ、今後の中国調査の基本論点を確認することが出来ている。ている。 日本の調査についても基盤技術産業の集積地域である東大阪や大田区を中心にこれまでの研究実績(主に研究分担者の植田浩史、粂野博行が担当)があり、主な対象産業となる自動車産業においても北九州および東海地域において継続的に調査しており(主に研究分担者の西岡正、三嶋恒平が担当)しており、サプライヤーもふくめた実態分析ができている。 これらの3地域に対して、アメリカ調査はこれまでの実績が十分でないこともあり、十分な調査が出来ていない。研究分担者のこれまでの調査研究等を中心に実態の概要はつかめてきているが、今後もうすこし踏み込んだ実態調査をする必要がある。 理論研究については、I o Tを経営学および経済学の理論的モメントとして落とし込む作業を実態調査を含めて検討しはじめ、学会等で問題提起ができる段階まで来ていおり、2019年度の春先の学会で報告し、関連分野の研究者から意見を伺う予定にしている。 以上、研究課題に対してはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては以下の通りである。 まず、研究対象国としてアメリカのI o Tの実態については調査である。これについては研究分担者の三嶋恒平がアメリカへ在外研究の機会を得ているので三嶋を中心に実態調査を進めていく。第2に、ドイツについては2018年度調査を足掛かりに実態調査を進めていく。研究分担者である西岡正が自動車産業を中心に調査蓄積があるので、西岡を中心に実態調査を進め る。第3に、中国については、十分に調査実績があるので、I o Tの中心となっている深セン地域を中心に補足的に調査を進めていく。第4に、日本においても、これまで十分な調査実績があるので、上記の欧米の取り組みと比較して、日本的な特質を抽出していく。第5に、理論研究に関しては、ひきつづき欧米の文献を中心にサーベイを進めていき、これらの既存研究に我々のこの間の調査研究を踏まえて、所属学会で理論的フレームワークを提起し、意見を聞いて調査に研究に反映していく。
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Research Products
(7 results)