2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study to Practical Use on Conservation of Waterlogged Wood Using Feeze-drying Method with Microwave Heating
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17H02021
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Property |
Principal Investigator |
川本 耕三 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲也 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80261212)
大国 万希子 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, その他 (40250352)
山口 繁生 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00752370)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 出土木材 / 凍結乾燥 / マイクロ波 / 保存処理 / X線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
出土木製品の保存処理において、厚みのある出土木材に凍結乾燥法を適用すると、乾燥が進むにつれて遺物の水分分布にばらつきが生じ易い。概ね遺物深部に含水率が高い部位があり、表層の含水率は低い傾向にあった。水分の残留が多いと後になって遺物表面に滲み出すことがあり、さらに処理し続けると遺物表面だけがクラックが生じるほど乾燥することがあった。 研究代表者らが2011年度から2014年度に行った研究では、凍結乾燥装置のチャンバーにマグネトロンを取り付けて作製したマイクロ波加熱凍結乾燥装置で、出土木材深部の水分を効果的に取り除くことができた。 本研究では処理中の出土木材と装置各部の温度・圧力・マイクロ波出力等を測定・表示・記録できるマイクロ波加熱凍結乾燥装置を作製した。この装置で水分が多く残る部位と乾燥が進んだ部位の温度などを測定し、出土木材の処理状況や状態変化を知って運転条件を変更することができた。処理工程は、ポリエチレングリコール20、40%含浸、凍結乾燥、断続的にマイクロ波を照射しながらの凍結乾燥、凍結乾燥の順である。 さらに本年度は、実際の出土木製品では温度センサーを埋め込めないことから、コールドトラップの氷を溶かして除く機会などを利用して定期的に試料の重量測定とX線CT撮影を併せて行った。これにより、出土木材各部の温度に代えて、重量とX線CTから乾燥速度や、定率乾燥から減率乾燥への移行時期を確認し、マイクロ波照射の時機を選ぶことができた。 凍結乾燥処理中の出土木材のX線CT撮影は、乾燥状態(水分の偏在)の変化を知る大きな手掛かりとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温度センサーを挿入できない実際の出土木製品に対し、重量測定、X線CT撮影などが、処理状況や状態変化を検知し、凍結乾燥時間、マイクロ波照射の時機を決めるために有用であると考えられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまな樹種、形状、表面状態の出土木材を最小限のセンサーによる温度測定、重量測定、X線CT撮影により凍結乾燥時間、マイクロ波照射の時機を決定し、出土木材をできるだけ均一に乾燥させる実験を繰り返し行う。 本研究の目的であるマイクロ波加熱凍結乾燥法の実用化のため、マイクロ波加熱凍結乾燥法の取扱いマニュアルを作成し、標準的な処理手順を確立する。
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