2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on reciprocal relationship between museums and the elderly
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17H02026
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
瀧端 真理子 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70330165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 一興 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (10194268)
和田 岳 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 主任学芸員 (60270724)
佐藤 翔 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90707168)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミュージアム / 高齢者 / 博物館 / 博物館経営学 / 博物館教育学 / 寄附 / 互恵的関係 / 居場所 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)アメリカ博物館同盟2017年年次総会への参加と情報収集を行った(連携研究者:佐久間による)。 2)2017年7月に「ミュージアムと高齢者の互恵的関係」第1回公開研究会を開催、問題意識を共有した。報告内容は「ミュージアムと高齢者の互恵的関係とは?」(瀧端)、「博物館に社会の要請を実装するための仕掛けーAAM年次大会でみた博物館の高齢者対応の本気度ー」(佐久間)、「エル・ライブラリーと高齢者」(研究協力者:谷合佳代子)、「大阪市立自然史博物館の『賢者の間』」(和田)、「高齢者はどこを見ているのか?ー図書館情報学を中心とした研究動向ー」(佐藤)、「高齢者のための空間としてのミュージアム」(大原)。 3)ブリティッシュ・カウンシル(東京)での情報収集。また、リヴァプール等で高齢者対象事業の参与観察を行い、日本社会教育学会研究大会で口頭発表した。 4)日本社会教育学会研究大会でラウンドテーブル「研究の記録管理と資料保存」を企画実施(報告は研究協力者:平野泉、谷合)、この内容を踏まえ「『研究者アーカイブズ』を考えるー歩き、読み、書いた二人の事例ー」、「研究の記録管理と資料保存ー京都大学研究資源アーカイブの事例からー」を公表した。また、2018年3月に、公開研究会「高齢化社会と資料保全」を開催し、高齢化の進展に伴う、個人所蔵標本への博物館としての対処方法に関する情報共有や検討を行った(佐久間、和田他、ゲスト報告者4名による)。 5)北欧のミュージアムにおける認知症高齢者に向けたプログラムの展開について、オーフスとストックホルムでヒアリングを行った(大原)。ニューヨーク近代美術館及びユダヤ博物館におけるメモリーロス高齢者対応事業の参与観察を行った(瀧端及び研究協力者:小南理恵による)。 6)米国のミュージアムにおける寄附金募集の調査を行い、シカゴ所在4館園の寄附金獲得戦略の分析を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に予定していた計画で一部遅れているものがある一方、2018年度以降に予定していた計画のうち、前倒しで実行したものがあるため、総合的に見ておおむね順調に進展していると判断した。以下、順に説明する。 1)「先行研究の収集と把握」:文献情報の収集は順調に進んでいるが、これら文献の解読と分析が遅れている。ブリティッシュ・カウンシル(東京)への訪問調査を行った他、図書館情報学分野での動向調査も進めた。2)「アメリカ博物館同盟(AAM)年次総会での動向把握」:予定通り実施し、2度の研究会で報告を行った。3)「ミュージアムの物理的環境調査、高齢者の居場所機能を持つミュージアムの探索」:物理的環境に関する事例及び写真の収集は進んでいるが、公開方法については検討中である。また、居場所機能を持つ館の調査については、国内事例の調査が遅れている。 一方、2018年度以降に予定していた計画のうち、前倒しで実行できたものは以下の通りである。 4)海外調査については、オーフス、ストックホルム、ニューヨーク、リヴァプール等での現地調査をすでに実施しており、予定より早く進んでいる。5)高齢化にともなう個人所有資料への対処方法に関する①ラウンドテーブル、及び②公開型の研究会を開催した。①は文献資料や記録写真をアーカイブズへ受け入れるに際しての課題を扱い、当日の報告を踏まえた文章化と公開を行った。②は自然史系標本の博物館への受け入れをテーマとし、西日本を中心とする博物館・図書館・アーカイブズ関係者との問題共有を図った。6)米国のミュージアムにおける寄附金募集情報及びボランティア募集情報の調査に着手し継続中である。年度末にシカゴ所在4館園の寄附金募集情報を一覧表にまとめ、内容の分析を行い、Researchmap上で、誰でもデータ利用が可能なように一覧表を公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)日本国内での、ミュージアム関連にとどまらない、地域認知症予防プログラム及び認知症の人々を対象とした諸事業と制度の把握を行う。また、ミュージアムと高齢者に関連する文献資料の収集、及び、図書館情報学分野での高齢者対象事業の把握を継続する。 2)英国、米国、フランス、ノルウェー等でのミュージアム及び図書館の高齢者対象事業実施例の把握及び文献調査を継続する。 3)高齢者が利用しやすい施設、設備に関する実態調査を継続するとともに、特に高齢者が展示のどこを見ているかを、視線追尾装置を用いて調査・分析する。また、高齢者の居場所として機能しているミュージアムの事例収集と集約を行う。さらに、国内外のエコミュージアムにおける高齢者の参加の事例をまとめる。 4)高齢者が所蔵する資料(標本、文献、写真等)の保存、寄贈、整理、活用に関する国内外での調査を継続する。 5)米国のミュージアムにおける、寄附金獲得のための制度調査の継続と、その背景にある館のミッション、経営形態、沿革、財政状況に関する調査を行う。また、ボランティアの募集戦略に関する調査を継続し、高齢者によるミュージアム支援の実態を把握する。
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Research Products
(24 results)