2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on reciprocal relationship between museums and the elderly
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17H02026
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
瀧端 真理子 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70330165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 一興 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (10194268)
和田 岳 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 主任学芸員 (60270724)
佐藤 翔 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90707168)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミュージアム / 博物館 / 高齢者 / 博物館経営学 / 博物館教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ICOM NATHISTへの参加。インクルージョンへの取組み状況の調査、2019年ICOM京都大会で「高齢者の参加と貢献」に関する発表の場を設ける相談、またイスラエルの博物館での高齢者の参加と高齢者への対応状況を視察した。成果として2019年ICOM京都大会NATHISTでは、高齢者へのアプローチ、市民活動との協働についてもプログラム化することとなった(佐久間)。2019年ICOM大会ではNATHIST”New Partnership”セッションでの口頭発表、ICTOPポスター発表(瀧端)、ICAMT口頭発表(大原)等が決定している。 2)2019年3月に「ミュージアムと高齢者の互恵的関係」第2回研究会を公開形式で開催。ゲストを含めた報告内容は「ボランティアによる学術ライブラリーの整理・登録作業―大山桂貝類学文庫の例」(石田惣)、「大山文庫整理に参加して」(萩野哲)、「ベルギーワロン地方セル村における高齢者とミュージアム活動」(谷合)、「認知症高齢者と介護者のプロジェクト“Creative Age”の考察―英国ナショナルグラスセンターの取組みより―(中野詩)、「ニューヨークのミュージアムと図書館における高齢者を対象とした教育普及活動」(小南理恵)、「シカゴの博物館群と寄附・ボランティア」(瀧端)。 3)「図書館における注視行動と加齢」に関する調査。加齢は注視域の広さに影響を与えるが、注視対象物の傾向は大きく変わらず、習慣・行動様式が探索の成否に影響することが窺えた(佐藤)。博物館疲労と座り行動の調査(大原)。 4)北欧での主に認知症を対象とした高齢者向けプログラムの視察(大原)、フランスとベルギーでの高齢者への対応および高齢者の活動参加事例の調査(谷合)、米国シカゴでの高齢者の参加事例の調査(瀧端)を実施。またシカゴ所在5館の寄付金獲得戦略を公表した(瀧端)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として成果の論文化が遅れているが、調査及び口頭発表は順調に進んでいる。以下、順に説明する。 1)プランド・ギビング制度の把握:2017,2018年度にシカゴ所在9館園の寄付金制度を網羅的に調査したため、プランド・ギビングの多様なメニューはほぼ把握できた。また、自ら寄附するだけでなく新しい寄附者を開拓する役割を持つドナークラブ等の存在を確認できた。なお昨年度に続き、今年度末にもシカゴ所在5館の寄付金募集情報を一覧表にまとめ、内容の分析を行い、Researchmap上で誰でもデータ利用可能なように公開している。また全日本博物館学会研究大会にて2018年に口頭発表を行い、2019年も口頭発表が決定している。 2)海外調査:ノルウェーとスウェーデン(スカンセン)で主に認知症を対象とした高齢者向けプログラムの調査、ベルギー(セル村)の文化・歴史協会での高齢者の活動調査、イスラエル(スタインハルト自然史博物館等)での高齢者利用状況や遺跡サイトでのユニバーサル化に関する調査、アメリカ(シカゴ各館園)でのボランティアの活動状況・寄附者に対する顕彰等の調査を行い、順調と言える。 3)専門知識・技術を持つ高齢者の貢献事例調査と、文献資料を中心とする高齢者からの寄贈資料受け入れシステムに関する調査:大阪市立自然史博物館大山桂文庫を管理する石田惣学芸員からの、資料受け入れの経緯と整理・登録作業についての報告、ボランティア参加者からの報告を受け、図書館情報学・アーカイブズ学からアドバイスを行う機会を設けた。 4)高齢者が利用しやすい施設・設備に関する実態調査:建築学的視点から博物館疲労とベンチ、座り行動の調査を行うともに、京都府立図書館にて加齢と注視行動の関係についての視線追尾装置を用いた調査を行った。 5) 2019年ICOM京都大会(オフサイトミーティング)に参画するとともに、発表が複数決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)最も遅れているのが日本国内での、ミュージアムにとどまらない、地域認知症予防プログラム及び認知症の人々を対象とした諸事業と制度の把握である。第2回公開研究会を機に、高齢者対象教育普及活動の実践家でもある中野詩氏に研究協力者になってもらったため、アドバイスを受けながら国内プログラムの事例収集や制度把握を行う。また、認知症予防プログラム等をミュージアムで行うために必要な財源・人材・制度上の課題等について検討する。 2)北欧、ベルギー等での現地調査の成果の論文化を行う。また、エコミュージアムに関してはICOM京都大会のオフサイトミーティング(フォーラム)を平野町で、また、ポストカンファレンス(フォーラム)を神奈川で行うことが決定しており、国内外の実践者や研究者との意見交換をもとに高齢者の参加や居場所機能に関する考察を深め、成果を公表する。 3)アメリカにおける寄附及びボランティアに関する調査を継続し、特に寄附制度に関してはシカゴで明らかになった多様な寄附制度が他都市でも存在するのかを検証する。 4)高齢者が利用しやすい施設・設備に関する実態調査を継続する。 5)調査研究の全体の集約に向けた調整を行う。研究期間の折り返し地点に来たため、最終的な成果をまとまりのあるものにするため、研究分担者・研究協力者が集まって意見交換を行う。研究成果の社会的還元の方法を検討するとともに、これまで行ってきた「ミュージアムと高齢者の互恵的関係」公開研究会を継続する。
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Research Products
(9 results)