2019 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ林における群落レベルでの海面上昇影響の実態解明と近未来予測
Project/Area Number |
17H02034
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
藤本 潔 南山大学, 総合政策学部, 教授 (50329752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 信 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (10396608)
小野 賢二 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30353634)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マングローブ林 / 海面上昇 / 表層侵食 / マングローブ泥炭 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクロネシア連邦ポンペイ島において、4つの主要群落(フタバナヒルギ、ヤエヤマヒルギ、マヤプシキ、オヒルギ各群落)に設置した固定プロット(それぞれPC, PR, PS, PK)内の侵食/堆積観測杭の測定を行い、1~3年間の地盤高変動を明らかにした。その結果、フタバナヒルギとヤエヤマヒルギ群落の堆積、マヤプシキとオヒルギ群落の侵食傾向が確認された。また、ヤエヤマヒルギ群落PRで毎木調査を行うと共に、支柱根動態観測プロット(5m×5m、3地点)で全支柱根の直径と長さを計測した。その結果、合計地上部バイオマスは2003年の235t/haから2019年には327t/haへ増加したこと、このうち支柱根バイオマスは2003年の120t/haから2019年には198t/haに増加したこと、この間軟根(新しい支柱根)はコンスタントに増加したのに対し、硬根(古い支柱根)は2011~2015年に一旦減少し、2019年には再び増加したこと、2011~2015年は、硬根の減少に伴い合計支柱根バイオマスも一時的に減少したことが明らかになった。さらに、表層侵食が進むPKにおいて、二次元的な堆積速度とセジメント輸送の測定を試みた。潮汐や降雨の影響も検討するため、大潮期(晴天時)、小潮期(降雨時)の観測を行った。その結果、PKでは正味のセジメント流出が起こっていることが推察されるデータが得られ、セジメント輸送はクリーク域と林床域で顕著に異なる様相を見せていること、大潮期にはクリーク内では上流からも下流からもセジメントの供給があり、やや堆積傾向となること、小潮期(降雨時)には、クリーク内には上流側からの供給が卓越し、林内での堆積量は増えるものの、正味のセジメントの流出が起こることなどが観測された。また、ヤエヤマヒルギ群落の幅とその内陸側林分における表層侵食の現れ方の関係を明らかにするための多点調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
詳細群落区分図を作成するためのドローンによる空撮は完了したが、マップの完成が遅れている。衛星画像を用いた広域群落区分図も未完成である。また、ヤエヤマヒルギ群落の幅とその内陸側林分における表層侵食の現れ方の関係を明らかにするための多点調査も。さらに調査地点を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、現時点ではミクロネシア連邦への入国は不可能である。また、西表島への入島も自粛要請が出されており、今年度のフィールド調査は実施できない可能性がある。今年度は最終年度であるが、その場合には本研究課題を完了することができないため、延長申請する予定である。
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