2017 Fiscal Year Annual Research Report
公共施設での利用を可能とする指静脈認証システムに関する研究
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17H02036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (20397053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 孝 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10345118)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体認証 / 指静脈画像 / 撮像システム / 照合手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず静脈画像を撮影するための光学系について検討を行い、撮影方法として、近赤外光を手の指に照射し、その反射光及び透過光を取得するシステムを構築した。この撮影方法について、動きのある静脈パターンを撮影するためにはどのような方式が適切であるかを検討し、光源の種類や偏光板等の光学素子の設置方法を定めた。 上記で構築した撮像システムを用いて、静脈撮影を行った。静脈撮影には、高フレームレートの高感度カメラを用いた場合と通常のフレームレート(30fps)のカメラの両方で撮影を行った。高フレームレートの撮影については、手を動かすスピードや動かす向きなどを様々に変化させて撮影を行った結果、500fpsであれば、十分な品質の静脈画像を取得できることを確認した。また、波長については、760nm、850nm、910nmの3種類の波長帯域のLEDを試したところ、850nmのLEDがもっとも明確な静脈画像を取得できることを確認した。 また、照合手法に関する検討として、Scale-Invariant Feature Transform (SIFT)特徴量を利用した照合手法を適用し、従来利用していた正規化相互相関(NCC)に基づく手法との比較を行った。その結果、NCCに基づく手法は複数指を同時に照合することが困難であったのに対し、SIFTに基づく手法は複数指を同時に操業することができ、またNCCに基づく手法よりも高速かつ高精度な照合が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度の計画では、通常のカメラを用いて静脈動画像撮影の予備実験を行い、この予備実験結果から、本研究で使用する高速カメラの必要スペックを算出し、この必要スペックに見合う高速カメラを購入する予定であった。しかし、予備実験において、光源の波長など想定外の検討要素が発生したため、2017年度中に高速カメラの必要スペックを定めるに至らなかった。しかし、2018年度に引き続き予備実験を行い、必要スペックを定めることができたため、2018年度に高速カメラを購入することができた。このカメラを利用することで、2018年度中には2017年度実施する研究をすべて完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、2017年度の残課題に加えて、撮像システムの見直し、照合手法の再検討、安全性向上のための検討を行った。撮像システムの見直しでは、高速カメラではない一般のカメラでもブレの少ない静脈画像が得られる撮像システムを提案し、実験によってその有効性を確認している。また、照合手法の再検討では、指領域の抽出を行う際の精度を向上させる手法として、深層学習の適用を検討した。安全性向上のための検討としては、暗号化センシングを取り入れることで、生体情報の漏洩を防止する仕組みについて検討した。2019年度は、まず実時間照合システムの構築を行う。具体的には、GPU(Graphics Processing Unit)やマルチコアCPUの並列処理を利用したシステムを設計し、実際に静脈認証を行う実験システムを構築する。その後、この実験システムを利用して、処理速度や照合精度を測定する。これらの結果から、提案する指静脈認証装置の実質的な性能を評価し、実用化へ向けての課題を明らかにする予定である。以上の進捗及び計画は、当初の計画通りである。
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Research Products
(4 results)