2018 Fiscal Year Annual Research Report
ビックデータを活用した居住地域縮退と災害安全度向上を両立する立地適正化モデル開発
Project/Area Number |
17H02040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塚原 健一 九州大学, 工学研究院, 教授 (90404003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加知 範康 東洋大学, 情報連携学部, 准教授 (30456701)
秋山 祐樹 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (60600054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | QOL / Quality of Life / 生活の質 / 立地適正化計画 / 居住誘導区域 / マイクロジオデータ / 災害安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マイクロジオデータを活用し、居住誘導区域への移転促進に関係するステークホルダー(地域住民、民間事業者、自治体)の意思決定モデルを構築し、各種規制・財政補助による居住誘導区域への移転促進の実現可能性を分析することである。 具体的には、次のように研究を進める。①立地適正化計画策定状況と災害危険性が高い地域の居住誘導区域指定の関係を調査する。②海外における防災力やQOL向上のための居住形態変更の事例を調査する。③マイクロジオデータ、統計・地図データを統合したGISデータベースを構築する。④現地及びヒアリング調査を行う。⑤居住誘導区域への移転促進に関する各種規制・財政補助制度等を踏まえた、各ステークホルダーの意思決定モデルを構築する。⑥政策変更により居住誘導区域への移転促進が実現可能となる都市数及びそれら都市でのQOL変化のシミュレーション、災害安全度の変化のシミュレーションを実施する。 平成30年度は、主に次の点に取り組んだ。 ①(2)居住誘導区域が将来に渡って人口密度を維持可能か分析した(81自治体)。居住誘導区域から土砂災害警戒区域を外せている/いない自治体の特徴を分析した(57自治体)。②IRDR科学委員会他(中国四川省成都市、10/15-17)、世界工学団体連盟(WFEO)会議他(イギリス・ロンドン市、10/20-24)に出席し、災害リスク管理に関わる国際政策について情報収集・調査を行った。⑤QOL価値観推定のためアンケート調査(800サンプル)を実施し、基本集計を行った。また、アンケート調査では困難な被災後の居住行動を把握するために、モバイル空間統計を用いて地方小都市でも被災地の災害復興過程を追えるか検討した。孤立集落の空間分布の移転ポテンシャルを分析した。市街化区域に対する居住誘導区域の面積の集約度合が交通利便性に与える影響を分析した(65自治体)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定し未完了であった①(1)QOL・防災力低下の実態調査箇所の抽出及び平成30年度に予定していた④現地及びヒアリング調査は、次年度(令和元年度)から開始するシミュレーションに対する必要性を再検討し、国土交通省及び地方自治体が公開している立地適正化計画の資料により代用できると判断したため、当初予定の現地及びヒアリング調査を中止し、シミュレーション結果の解釈に必要となった際に適宜実施することとした。これにより確保できたリソースは、次年度から開始する⑥シミュレーション分析のための準備を前倒して行った。その他の予定していた①(2)立地適正化計画策定状況と自治体特性の関係の整理(完了)、②海外調査(次年度も継続)、③GISデータベース構築(次年度も継続)、⑤シュミレーションモデルの構築(次年度も継続)は、概ね予定通り進んでいるため、全体としては「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、②海外調査、③GISデータベース構築(データ更新とQOL価値観データの登録)、④現地及びヒアリング調査(シミュレーション結果に応じて適時)、⑤シミュレーションモデルの構築、⑥シミュレーション分析を実施する。令和2年度は、⑥シミュレーション分析、⑦研究成果のとりまとめを実施する。今後は、個々の分析結果を統合し、シミュレーション分析する段階に入るため、これまで以上に共同研究者間の連携を密に行うとともに、研究成果をアウトプット(論文執筆等)していく。
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Research Products
(7 results)