2017 Fiscal Year Annual Research Report
交通実態と効果評価に基づくドライバの認知判断支援による信号交差点の安全・円滑化
Project/Area Number |
17H02055
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸茂 喜高 日本大学, 生産工学部, 准教授 (00409088)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏典 日本工業大学, 工学部, 教授 (20426258)
道辻 洋平 茨城大学, 工学部, 准教授 (90376856)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 運転支援システム / 信号交差点 / オーグメンテッドリアリティ / 交通流 / ヒヤリハット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,信号情報を活用して,ドライバへの情報呈示により認知・判断を支援することで,安全で円滑な信号交差点を実現する手法を構築することを目的としている. ヒヤリハットデータベースを用いた運転支援システムの評価では,支援を導入した際に,信号切り替わり場面におけるニアミスがどの程度解消されるのか検証した.効果検証には,イベント記録型ドライブレコーダを活用してデータ収集したデータベース(東京農工大所有)を活用した.実際の場面では,交差点進入することで,自動車と歩行者のヒヤリハットが発生しているが,運転支援が動作することで無理な交差点進入が解消されることを確認した. ドライビングシミュレータによる運転支援システムの設計では,前方が赤信号の際に,赤信号の残り時間を取得することを想定し,現在の速度で減速が必要かどうか,道路上に情報を呈示する手法について検討した.ドライビングシミュレータ実験により,支援を行うことで赤信号に対する不要な減速を回避することが可能となり,その結果,燃費が改善することを確認した.さらに,これまで支援に用いる情報を,ドライビングシミュレータの模擬映像上に直接描画していたが,ヘッドアップディスプレイを製作し,それを用いて運転支援が行えることを確認した. 交通流シミュレーションによる加減速判断支援システムの評価では,支援が導入された際の交差点交通流を再現するシミュレーションシステムを概ね確立した.このシミュレーションシステムは,支援を受けた車両の追従挙動を再現するドライバモデルと,道路ネットワーク情報や交通需要,ドライバモデルパラメータ等を入力とし,燃費,排ガス排出量,旅行時間,地点交通量,地点速度等を出力するモデルで構成される.構築したシステムを用いてシミュレーションを実行した結果,支援の有無による交差点交通流の特徴を把握できることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒヤリハットデータベースを用いた運転支援システムの評価,ドライビングシミュレータによる運転支援システムの設計,交通流シミュレーションによる加減速判断支援システムの評価のそれぞれにおいて,前述の研究実績の概要にも記したような成果が得られており,当初の目標を達成できていると言える. 得られた成果について,国内の学術講演会で研究発表を行った.現在,査読付き学術雑誌への投稿を行っており,今後は,国際会議での研究発表や,海外の国際ジャーナルへの投稿も予定している.
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒヤリハットデータベースを用いた運転支援システムの評価では,現状の運転支援によって,信号交差点における黄信号場面のヒヤリハットが80%近く解消可能であることがわかったが,残り20%は解消できないため,それら事例の詳細を引き続き分析する.また,信号切り替わり場面では,対歩行者のみならず対向する右折待ち車両とのヒヤリハットも多く発生している.それら事例に対し,提案する運転支援システムがどの程度有効であるのか検証をおこなう.さらに,今回の効果検証シミュレーションは,簡易的な2Dシミュレーションツールを使っていたが,支援効果をより把握しやすいドライビングシミュレータを活用した環境構築もおこなう. ドライビングシミュレータによる運転支援システムの設計では,青信号時の信号切り替わりによる急減速を回避する支援と,赤信号時の不要な減速を回避する支援を統合し,安全性と燃費の両面から支援を行うシステムについて検討する.さらに,製作したヘッドアップディスプレイを用いて,運転支援システムの評価を行う. 交通流シミュレーションによる評価では,構築したシミュレーションシステムを活用し,交通需要,交差点間距離,信号現示等を含む各種条件を変化させて支援の効果を安全面,環境面から評価すると同時に,支援の効果が得られやすい条件を明らかにする.また,その交通流の様子をアニメーションで表示させることで効果の「見える化」も検討する.
|