2017 Fiscal Year Annual Research Report
計算力学と電気生理学の統合的解析による消化器系バイオメカニクスの開拓
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17H02075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 陽介 東北大学, 工学研究科, 特任准教授 (60431524)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 消化器系バイオメカニクス / 計算バイオメカニクス / 計算力学 / 生体シミュレーション / 医工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍や癌がないにも関わらず胃痛や胸やけを訴える疾患を「機能性ディスペプシア」と呼び,消化管運動障害がその原因と考えられている.しかしながら,健常な場合でさえも胃内部の食物流動を可視化できないため,この疾患のメカニズムは十分明らかになっていない.本研究の目的は,我々の計算力学解析とオークランド大学の電気生理学解析の統合的解析を生理学的な条件から病理的な条件まで包括的に展開し,機能性ディスペプシアの病態メカニズムを解明することである. 平成29年度は,この計算力学解析を実施するため,胃‐幽門‐十二指腸における食物流動の計算力学モデルを開発した.新たに,医用画像に基づき,十二指腸の実形状モデルを再構築し,過去に構築した胃の実形状モデルと幽門を介して接続することで,胃‐幽門‐十二指腸の実形状モデルを構築した.オークランド大学の医用画像および多極電極マッピング解析のデータに基づき,胃壁の蠕動運動と幽門の収縮運動をパラメータ化した消化管運動モデルを開発した.液体食物の流動を気液二相流・移動壁境界問題としてモデル化し,過去に開発した適合格子サブドメイン法を応用し,多緩和時間格子ボルツマン法による多相流の高速GPU計算を実現した. この計算力学モデルを用いて,胃における貯留・撹拌・排出機能の解析を開始した.特に,Terminal antral contraction と呼ばれる蠕動運動と幽門の開閉の協調に着目した解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に,食物の貯留・撹拌・排出機能に関する解析を本格的に実施する予定であったが,平成29年度中に,この解析に着手することができており,基礎となるデータは既に得られているため.
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Strategy for Future Research Activity |
オークランド大学と連携し,疾患に関するデータの取得およびモデルの構築を強化する.
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Research Products
(5 results)