2019 Fiscal Year Annual Research Report
計算力学と電気生理学の統合的解析による消化器系バイオメカニクスの開拓
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17H02075
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
今井 陽介 神戸大学, 工学研究科, 教授 (60431524)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 消化器系バイオメカニクス / 計算バイオメカニクス / 計算力学 / 生体シミュレーション / 医工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍や癌がないにも関わらず胃痛や胸やけを訴える疾患を「機能性ディスペプシア」と呼び,消化管運動障害がその原因と考えられている.しかしながら,健常な場合でさえも胃内部の食物流動を可視化できないため,この疾患のメカニズムは十分明らかになっていない.本研究の目的は,我々の計算力学解析とオークランド大学の電気生理学解析の統合的解析を生理学的な条件から病理的な条件まで包括的に展開し,機能性ディスペプシアの病態メカニズムを解明することである. 2019年度は,オークランド大学との共同研究において,症例に関するデータを取得・整理し,得られたデータに基づく計算モデルを構築した. オークランド大学の高解像度多極マッピングによって,高齢者などの胃体部において蠕動運動の伝播速度が増加している現象が新たに見出された.この高解像度多極電極マッピングデータに基づいて,胃壁の蠕動運動の形状モデルを新たに構築し,これまで開発してきた数値流体力学モデルに導入した.この計算モデルを用いて,蠕動運動の伝播速度の増加が胃の撹拌,排出機能に与える影響をGPUコンピューティングによるパラメトリック解析によって明らかにしようとしているところである. また,消化管運動の生理において重要なパラメータの一つであると考えられる蠕動運動の発生頻度に着目し,発生頻度と胃の撹拌,排出機能の関係についてもパラメトリック解析による検討を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高齢者などの胃体部において蠕動運動の伝播速度が増加している現象は新たに発見された現象であり,当初の計画にはなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
オークランド大学と連携し,疾患に関するデータの取得およびモデルの構築を強化する.
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