2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fundamental technologies and applications of the cartilage conduction
Project/Area Number |
17H02079
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中川 誠司 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (70357614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
籠宮 隆之 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 訪問研究員 (10528269)
湯本 真人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30240170)
西村 忠己 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60364072)
細井 裕司 奈良県立医科大学, 医学部, その他 (80094613)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体情報・計測 / 軟骨伝導 / 聴覚 / 末梢伝搬メカニズム / 補聴器 / スマートフォン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは,従来の骨伝導が持つ振動子の装用に係る問題を解決した“軟骨伝導”を提案し,補聴器やスマートフォンへの応用を図ってきた.しかしながら,軟骨伝導の知覚特性や末梢伝搬メカニズムは,刺激呈示方法に依存して変化する.また,出力校正手法のような基盤情報・基盤技術が確立されていないため,効率的な開発が行えないという問題点があった.本提案課題では,様々な刺激呈示方法による軟骨伝導の知覚特性や末梢伝搬特性の解明,および出力校正方法の開発に取り組む.また,得られた知見を利用して十分な伝音性難聴の補聴性能や対騒音特性を持った軟骨伝導補聴器/スマートフォンの開発を行う.2017年度は以下のような研究に取り組んだ. (1)呈示条件ごとのによる軟骨伝導音の末梢伝搬特性解明:軟骨伝導音聴取時の外耳道内音圧や頭部振動を計測し,その伝搬過程を推定した.従来の骨伝導との比較から,健聴者や伝音性難聴者にとって聴取しやすい部位を探索的に調べた. (2)軟骨伝導の基礎知覚特性の解明:心理物理計測および神経生理計測(ミスマッチ・フィールド計測)によって,軟骨伝導知覚の検出閾や時間分解能,周波数分解能を調べた.健聴者では,軟骨伝導の聞こえが従来の骨伝導音を凌ぎ,気導音に迫る者であることが明らかにされた. (3)軟骨伝導の末梢伝搬モデルの構築:上記の結果から,耳介の中央部に呈示した場合の,聴覚健常者における軟骨伝導の聞こえは,外耳孔から侵入する気導成分,および,いったんは頭部に入るものの外耳道内に放射される外耳道放射成分によっておよそ決定されることがわかった.ただし,軟骨伝導刺激の呈示部位に依存して変化する可能性があることから,今後の詳細な検討が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各サブテーマをおよそ当初計画通りに遂行できた.外耳道内での音圧計測や頭部振動計測,心理計測の結果からは,軟骨伝導音の末梢伝搬メカニズムや知覚特性を示唆する結果を得た.補聴器やスマートフォンの最適化に有用な知見と思われる.また,得られた知見から,軟骨伝導の出力校正手法を提案した.今後の改良が必要であると思われるものの,目標とする工業規格提案に向けて基礎的な成果を出すことができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も,様々な呈示方法による軟骨伝導刺激に対する頭部振動計測やコンピュータ・シミュレーション,心理知覚特性の計測を進め,軟骨伝導の知覚特性の全貌の解明と末梢伝搬メカニズム推定に有用な知見の獲得に努める.また,得られた知見を利用して,軟骨伝導の出力校正方法を提案する.
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Research Products
(157 results)