2018 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光ナノマルチプレクサを利用した多重分子イメージング
Project/Area Number |
17H02084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 裕介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20346191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 純 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00183070)
西村 隆宏 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10722829)
山田 憲嗣 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授 (70364114)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 応用光学 / DNAコンピュータ / 蛍光顕微鏡 / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体分子を入力、蛍光を出力、波長符号化光を制御信号とする蛍光ナノマルチプレクサを利用した多重分子イメージング技術の開発をめざしている。蛍光ナノマルチプレクサは、DNAの自己組織化により蛍光分子をnmオーダーの精度で配置したナノ光論理回路に基づき作製する。昨年度までに、回路の基本構成要素となる蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)スイッチを作製した。本手法は、出力をドナー蛍光分子としており、多段階のFRETが不要なため、蛍光ナノマルチプレクサにおける変数の拡張を容易に行えるが、ON/OFF比が不足していた。 今年度はまず、FRETスイッチの構成を再検討し、性能向上をはかった。ON/OFF比が低い原因を調査したところ、アクセプタ分子とアクティベータ分子の位置関係にあることがわかった。そこで、両分子をDNA構造の端部に配置した形で再設計した。波長532nmと589nmを入力とするFRETスイッチで実験したところ,ON/OFF比をYESスイッチで最大1.29,NOTスイッチで1.18まで上昇させることができた。また、ONとOFFの連続切り替えに対する応答を検証し、少なくとも3回は大きな性能低下がなく動作することがわかった。次に、これらを組み合わせたナノ光論理回路を構築した。例として、波長532nmと589nmを入力とするYESスイッチを同時に用いる2入力1出力のOR演算について検証した。出力として得られる蛍光信号に対し,適切に閾値を設定することで正しい演算結果が得られた。また、時系列に変化させた入力を用いると、それに追随して演算結果も変化することが確認できた。これらを利用すれば、複数の対象分子に対する多様な出力設定が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FRETスイッチのON/OFF比が低くなる要因を改めることで、性能が向上した。また、ナノ光論理演算を繰り返し行えることや時系列入力に対して、期待した動作が実行されることを示すことができた。これにより、複数の対象分子に対する多様な出力設定を行う蛍光ナノマルチプレクサに適用する目処がたった。このようにバルク系での実証が進む一方で、目標としている顕微鏡を用いたイメージング実験を開始するに至っていない。以上のことを勘案し、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光ナノマルチプレクサの基本構成要素となるナノ光論理演算素子を複数組み合わせ、マルチプレクサの実装を進める。情報の入力効率やクロストークなどの観点から評価実験を行う。また、蛍光顕微鏡をベースとしたイメージング実験システムを作製する。空間的な動作制御を実行するために空間光変調器(SLM)を導入し、イメージング実験を実施することで、本手法の能力を示す。
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