2017 Fiscal Year Annual Research Report
多階層医工学的解析に基づくメカニカルストレスを利用した心機能維持の分子基盤の解明
Project/Area Number |
17H02085
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60432639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金川 基 神戸大学, 医学研究科, 講師 (00448044)
片野坂 公明 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (50335006)
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10335630)
氏原 嘉洋 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80610021)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メカノセンサー / 心肥大 / 心不全 / Ca2+ハンドリング / ノックアウトマウス / 機械受容 / 血行動態負荷 / TRPチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全に至る原因や過程は一様ではないが、唯一、高血圧などの血行動態負荷は共通の引き金である。しかしながら、心筋細胞の機械刺激受容機構は未だ解明されておらず、その生理的役割や心肥大・心不全発症メカニズムが明らかにされていない。本研究では、心筋細胞のメカノセンサー分子を核として、『メカニカルストレスを利用した心機能維持の分子基盤』を明らかにし、新しい心不全治療戦略を提案することを目的としている。我々は、これまでに、成体マウスの心臓において、このメカノセンサー分子を発現抑制したコンディショナルノックアウトマウスは、重篤な心不全を呈することを明らかにし、この分子が心機能や構造の維持に必須であることを明らかにしてきた。本年度は、メカノセンサー分子をノックアウトした心臓を用いてマイクロアレイ解析を行い、心筋細胞でのどのような遺伝子の発現変化が心不全へと移行する引き金となるかを調べた。この結果、メカノセンサー分子の欠損は、興奮収縮連関に関わるCa2+輸送体の発現低下を引き起こすことが明らかとなった。また、培養心筋細胞を用いて、心筋細胞の成熟過程を観察したところ、メカノセンサー分子の欠損は、興奮収縮連関を獲得することができずに、周囲の細胞と同調拍動を示さない未成熟な細胞となった。この結果から、メカノセンサー分子は、心筋細胞の興奮収縮連関に伴うCa2+ハンドリングを維持するために欠かせない分子であることが明らかとなってきたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋成熟や維持におけるメカノセンサーの生理的役割が明らかになってきており、これらをまとめ出版の準備中であることから、当初の計画通りにおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、当初の計画に従って、データを蓄積していう予定である。また、国内外の共同研究者と協力して、メカノセンサー分子の心臓以外での役割も明らかになりつつあり、さらなる発展が期待できる。
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