2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of closed-loop system of deep brain stimulation using sensor by molecularly imprinted polymer
Project/Area Number |
17H02088
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉見 靖男 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30267421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
六車 仁志 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20309719)
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70412161)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子インプリント高分子 / センサ / イメージング / ナノ粒子 / ドーパミン / パーキンソン病 / グラフト重合 / カーボンペースト |
Outline of Annual Research Achievements |
芝浦工業大学は、前年度に引き続きドーパミン検出用電極の作製を試みた。粒径8 umのグラファイト粒子にラジカル重合開始剤を固定し、ドーパミンに対する分子インプリント高分子(MIP)固定電極で、微分パルスボルタメトリーを行ったところ、試験液中ドーパミン濃度を反映した電流が検出された。この電流はL-ドーパに対しては半分程度の酸化電流を検出した。しかし、またドーパミンを安定して検出できる限界は500 nM程度であり、脳内のドーパミンを検出するには、感度も選択性も十分ではない。一方、蛍光官能基を導入したMIPナノ粒子は、ドーパミンとの特異相互作用で蛍光強度を増大させた。このナノ粒子で脳のスライスを染色して蛍光顕微鏡で観察して、ドーパミン分泌不全部位を特定し、センサの穿刺部位を特定すれば、多少選択性の低い電極でも、DBS制御が可能になると考えた。 川崎医科大学は、Parkinson病(PD)モデルラットの作製を試みた。黒質から線条体へのドーパミン神経線維に6-Hydroxydopamine (6-OHDA)を注入して神経を変性させPDの症状を誘発する手法を用いた。注入2週間後のラット脳に対して組織免疫染色を行いドーパミン分泌神経の欠損を確認した。モデルラットの作製法はほぼ完成した。このモデルラットの脳スライスを作製して、芝浦工業大学に搬入して、ドーパミン感応蛍光MIPナノ粒子で染色した後、蛍光顕微鏡で観察した。しかし染色後の蛍光強度が、自家蛍光に比べて大きなものとはならず、ドーパミン分泌に由来するシグナルが検出されなかった。一方、セロトニンに感応性のある蛍光MIPナノ粒子にはよく染色され、セロトニン分泌を反映したシグナルが検出された。ドーパミン感応性蛍光ナノ粒子を染色しやすくする条件の特定が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究でドーパミンに対して感受性のあるMIP固定電極と、蛍光MIPナノ粒子の開発に成功した。いずれも独創性は充分にはある。しかし脳内のドーパミンを検出するには、MIP固定電極の選択性と感度が不十分である。MIP固定電極の脳内留置位置を厳密にすることで現在の感度および選択性でも脳深部電気刺激の制御に充分なシグナルを検出できる可能性があると考えた。しかしドーパミンに感受性のある蛍光MIPナノ粒子の脳への吸着能が低く、ドーパミン分泌のイメージングを取ることが難しかった。MIP固定電極のドーパミン感度を高めるか、ナノ粒子の吸着能を高めるか、いずれの課題を達成することが急務である。
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Strategy for Future Research Activity |
MIP固定電極に関しては、機能性モノマーと架橋性モノマーの選定はほぼ検討し尽くしている。今後は両モノマーの重合時における仕込みモル比を検討し、感度と選択性の向上を図る。 ドーパミン感受性蛍光MIPナノ粒子に関しては吸着能の向上が課題である。ナノ粒子表面を修飾して細胞に吸着しやすいものに改良していく。 DBSによる回旋運動抑制効果が見られる刺激条件の検討を行う(刺激強度(0.3~0.5mA)、電流の極性および刺激頻度(100~500Hz)を変化させる)とともに、刺激電極の先端位置を刺激後の脳を摘出してスライス標本を得ることにより組織学的に確認を行う。DBS治療効果が確認され次第、MIP電極を用いたin vivo実験に移行する。
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Research Products
(4 results)