2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞代謝解析のための機能デバイスを組込んだバイオハイブリッドシステムの構築
Project/Area Number |
17H02091
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小西 聡 立命館大学, 理工学部, 教授 (50288627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70511608)
小林 大造 立命館大学, 理工学部, 准教授 (20557433)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / ナノバイオ |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリックシンドロームは生活習慣病との関連が深く健康診断でも重視されており、培養組織を用いた代謝解析の重要性も高まっている。細胞工学を駆使して生体組織をチップ上につくる研究も活発に進められており、本研究では、代謝物の回収デバイスや生化学センサ等の機能デバイスを組込んだバイオハイブリッドシステムの構築を進めている。昨年度は、細胞培養機構、組込みセンサ、代謝物回収機構、入力刺激機構、の各要素の研究開発に取り組み、当初計画に基づき要素技術研究に関して着実に成果を挙げることができた。また本研究で研究開発したデバイスやシステムについては、汎用性の高い従来の系も適宜導入し、新規開発中の要素やシステムとの性能比較をしながら進めてきた。 本年度は、細胞培養機構に関しては、システムとしての構成を念頭に、現在広く使われている培養ディッシュとの整合性の高い系の設計、構築にも重点を置いて研究を進めた。昨年度実現した代謝物回収機構や本事業で導入済みのバイオセンサ装置を構成要素としてディッシュの系に組み込んだシステムを構成し、バイオハイブリッドシステムを実現した際の動作検証に取り組んだ。 具体的に、脂肪細胞と骨格筋細胞を取り上げ、本年度構成したシステムを用いて、システムとしての動作検証を実施した。入力刺激機構に関し、脂肪細胞については薬剤刺激、骨格筋細胞については電気刺激および画像処理を可能とした。脂肪細胞については、脂肪滴の形成に影響をもつ因子の入力をコンピュータ制御し、脂肪滴の形成状況を画像処理技術でモニタリング、さらに画像処理結果を入力制御にフィードバックすることに成功した。一方、顕在化した課題への対策も開始している。 研究開発成果は、今後のバイオハイブリッドシステムへの展開可能性を示すことができており、本研究で構想中のバイオハイブリッドシステムの実現において重要な研究内容といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究推進中の状況に応じて、目標達成に向けた対応ができており、システム動作検証も結果がでてきているため。以下具体的な理由を示す。 本研究では、チップ上に培養した細胞に対して、代謝物の回収デバイスや生化学センサ等の機能デバイスを組込んだバイオハイブリッドシステムの構築を進めている。昨年度は、細胞培養機構、組込みセンサ、代謝物回収機構、入力刺激機構、の各要素の研究開発に取り組み、当初計画に基づき要素技術研究に関して着実に成果を挙げることができた。 細胞培養機構に関しては、システムとしての構成を念頭に、汎用性の高い培養ディッシュとの整合性の高い系の設計、構築にも重点を置いて研究を進めた。ディッシュの系に代謝物回収機構や導入済みのバイオセンサ装置を組み合わせたシステムを構成し、バイオハイブリッドシステムを実現した際の動作検証に取り組み、課題の抽出を図った。 具体的な細胞例として、脂肪細胞と骨格筋細胞を取り上げ、システムの動作検証を実施した。入力刺激機構に関し、脂肪細胞については薬剤刺激、骨格筋細胞については電気刺激画像処理できるようにした。脂肪細胞については、脂肪滴の形成に影響をもつ因子の入力をコンピュータ制御し、脂肪滴の形成状況を画像処理技術でモニタリング、さらに画像処理結果を入力制御にフィードバックすることに成功した。一方、顕在化した課題への対策も開始している。例えば、骨格筋細胞の電気刺激実験において、収縮計測において計測エラーがみられたが、画像処理における計算手法の再検討により、計測エラーを低減した。 今年度の研究開発成果は、今後のバイオハイブリッドシステムへの展開可能性を示すことができており、本研究が構想しているバイオハイブリッドシステムの実現において重要な研究成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度より研究開発中の細胞培養機構、組込みセンサ、代謝物回収機構、入力刺激機構、の各要素技術を統合し、二年目はシステム化を重視して細胞培養機構、組込みセンサ、代謝物回収機構、入力刺激機構、の各要素の統合準備を進めてきた。細胞培養機構と代謝物回収機構を優先し、細胞代謝解析について、センサの校正用に導入した細胞培養用バイオセンサおよび実績を有する画像解析技術を適用して、細胞代謝解析バイオハイブリッドシステムを構成し、システムの動作検証に取り組み、課題の抽出と対策を行った。 細胞培養機構研究開発に関しては、ディッシュやチャンバ中の培地均一化についても技術改良が進み、完成度が高くなってきており、継続して信頼性向上を図る。組込みセンサ研究開発に関しては、 導入した既製の細胞培養用バイオセンサを用いたシステム動作検証を優先して進めており、試作を進めてきた組込みセンサについては組込み要求仕様の検討を重視する。細胞代謝物回収機構研究に関しては、初年度に取り組み始めた外付けプロトタイプの性能が良いため、集積化タイプへの展開に活かし、最適な設計の追及を図る。入力刺激機構研究に関しては、過年度までに取り組んできた薬剤導入用流体デバイスと電気刺激用電極デバイスが機能するようになっており、システム化における課題が顕在化した場合には適宜対応する。細胞活動制御研究に関しては、昨年度システムの動作検証を実施した結果に基づき、引き続きシステムの有用性を実証する取り組みを進める。 本システムを用いれば、様々な刺激入力に対する連続的なデータ収集とその解析が可能となる。骨格筋の場合は、電気刺激パターンを種々試すことができるため、生体内を再現した環境における脂肪細胞や骨格筋の応答解析への展開を進めていく予定である。
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