2017 Fiscal Year Annual Research Report
Connectome modifying therapy for deglutition disorders
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17H02137
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山脇 正永 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30302855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檀 一平太 中央大学, 理工学部, 教授 (20399380)
栢下 淳 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (40312178)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 嚥下運動 / 脳機能マッピング / コネクトーム / 嚥下障害 / 誤嚥性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床的な嚥下障害と脳機能パターンのマッチングを行い、以前から我々の得ている正常嚥下データと比較した。臨床的マーカーとしては、嚥下造影検査、嚥下圧検査、多チャンネル筋電図検査をもちいて、口腔期・咽頭期・食道期の活動パターンを経時性に正常状態と病的状態で比較解析する。特に画像解析では各部位マーカーのsequentialな運動の2次元解析とボーラス(食塊)の流体解析を行った。正常対象群、疾患対象群として核上性(大脳嚥下中枢の障害)、核下性(延髄嚥下中枢の障害)、パーキンソン病患者について施行し、嚥下障害において脳活動パターンの変化を解析した。 光トポグラフィー装置を用いたfNIRS(near-infrared spectroscopy)は、非侵襲的な近赤外線の散乱光を用いてヘモグロビン濃度を測定することで、非侵襲的に大脳皮質における脳血液量の変化を検知することができた。本方法は通常摂食時と同様の姿勢で脳機能を計測できるため、生理的な嚥下時脳機能を経時的に評価できた。データ解析には共同研究者の壇らの方法を用いた。 得られたデータのうち、嚥下運動の脳内コネクトームを分析を開始した。特に大脳・小脳・延髄ネットワークに関する分析を行っている。関心領域としては感覚運動野(SMC),運動補足野(SMA),前頭前野、小脳半球で、嚥下運動時の大脳から延髄への促進性/抑制性シグナルのスキームのうちで効率的な治療ポイント(時間的、空間的)を同定しつつある。嚥下運動のデータには、随意性、食形態(水分、固形物)、口腔内への感覚入力(刺激、味覚、温度)の条件も含まれており、本方法で得られた結果は、嚥下障害患者へのリハビリテーション、食形態決定に直接反映できるものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標は大脳・延髄ネットワークを介した治療法の確立を目的とするものであり、3年間で臨床治験への準備データを得ることを予定している。 研究の骨子と分担は以下となっている。1)fNIRS及びfMRIによる種々の条件での嚥下の脳内表象の解析(檀、栢下、山脇)、2)嚥下運動のコネクトームの解析(壇、山脇)、3)コホート研究による超高齢者の嚥下コネクトームの解析(檀、栢下、山脇)、4)経頭蓋刺激(rTMS, tDCS)によるconnectome modifying therapyの開発(檀、栢下、山脇) 5)臨床治験への準備(山脇)、現時点では予定通り、1)~2)を行った。3)についても体制を整え、データ収集が開始された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、上記の1)~2)に並行して、以下を行う予定である。 健康長寿の背景因子を明らかにする目的で開始された京丹後長寿コホート研究を継続する。京丹後市人口は平成28年4月で57,198人であり、平成29年度は90歳以上約200人をコホート研究の対象とし、平成31年までに65歳以上約1000人とする予定である。このうち特に超高齢者及び嚥下障害を有する参加者については、脳機能検査を施行する予定で、平成30年度より毎年200人程度を予定している。全体の調査内容としては、在宅での生活状況、食事調査、基本健康調査、口腔機能検査、動脈硬化関連検査、血液生化学検査等を予定している。 さらに、1)2)3)で得られた治療ポイントから臨床的条件を同定する。治療方法としては、口腔・顔面感覚入力による方法、rTMS, tDCS, 咽頭電気刺激による大脳刺激法・末梢刺激法、を単独或いは併用にて使用する。磁気刺激法については、online TMS法或いはoffline rTMS法によるvirtual lesioning 法も施行する予定である。また、1)2)3)で我々が得た食形態・味覚・口腔内への感覚入力(アイスマッサージ、痛覚受容体を介した刺激)データに上記の刺激治療を併用する方法を想定している。
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Research Products
(2 results)