2017 Fiscal Year Annual Research Report
An examination of neural mechanisms underlying error monitoring associated with recovery of motor function
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17H02139
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
正木 宏明 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80277798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 統一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00408634)
小野田 慶一 島根大学, 医学部, 講師 (60432712)
小川 景子 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (70546861)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リハビリテーション / エラーモニタリング / エラー関連陰性電位 / 経頭蓋直流電気刺激 / 睡眠 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はエラーモニタリングという新しい視座から運動学習過程を捉え,リハビリテーションに応用可能な基礎的知見を得ることを目的としている.エラー検出能力が学習と共に向上するのであれば,脳波のエラー関連陰性電位(ERN)は運動学習に伴って増大すると予想された.平成29年度ではそのエビデンスを得るため,経頭蓋直流電気刺激 (tDCS)と夜間睡眠によって学習速度を操作し,ERNの変化を主に調べた. tDCS実験では,ボタンを順序正しくタッピングする運動系列学習課題を用いた.陽性刺激を与える陽性群と偽刺激を行う統制群の2群を比較した(各6名).両群とも10ブロック(各25試行)の課題遂行に伴い,遂行時間に短縮が認められたものの,tDCSの効果はなかった.運動系列学習課題の前後には空間ストループ課題でERNを測定した.両群ともにERNが明瞭に惹起したものの,tDCSに伴うエラーモニタリングの機能亢進は認められなかった. 睡眠操作実験では,研究分担者の小川が夜間睡眠に伴う動作スキル記憶固定の促進効果について検証した.参加者は非利き手による8系列のタッピング課題を就床前と起床後に遂行した.運動スキルの記憶固定に関与する睡眠段階2のスピンドル出現量を操作した.その結果,スピンドル出現量に伴って翌朝の運動スキルに向上が認められた.研究分担者の小野田は,行動データに基づき強化学習モデルでエラー情報を推定し,その変化と関連する領域をmodel-based fMRIにて検証した.その結果,エラーは背側前帯状回で表象されることを確認した. さらに,スポーツ種目によるエラーモニタリングの差異,結果フィードバックの予期と意思決定過程の関係,有酸素運動に伴う認知機能の変化,反応抑制とエラーモニタリングの関係についても脳波計測を通して調べた結果,エラーモニタリングの機能的意義をさらに明確にする知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,tDCS装置の導入によって実験環境を整備することができた.役割分担も機能しており,広島大学で実施された睡眠操作実験ではデータが順調に収集されており,狙い通りの学習効果も確認できている.一方,従来の知見に反して,運動学習に及ぼすtDCS効果が得られなかったことから,運動学習課題と実験プロトコルに修正を加えて追試する必要性を見出した.初年度での適切なプロトコル修正は,研究期間内に成果を得るための有益な作業と考えている.その他,エラーモニタリングに関わる脳機能を様々な課題と対象者で検証した結果,有益な知見を多く得ることができた.その一部は初年度に論文化することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度より開始したtDCS実験(早稲田大学・正木)と夜間睡眠実験(広島大学・小川)について,一部プロトコルの修正を加えたうえで追加実験を行う.tDCS実験では,運動学習課題の練習期にtDCSで一次運動野に直流刺激を加え,運動学習に伴うERNの動態を調べる.実験参加者をtDCS群,Sham群それぞれ20名程度になるまで実験を行う.夜間睡眠実験では,睡眠段階2のスピンドルを操作して運動スキルの記憶固定を促進させる.運動系列課題の練習後に夜間睡眠をとる睡眠群と,昼間の覚醒時に動作スキルを練習させて十分な休息を置く覚醒群を比較する.各群15名程度になるまでデータ収集を続ける.いずれの群でも課題練習の前後でERNを計測し,保持テストとの関連も調べる. また,fMRI実験を早稲田大学で準備する.新規3テスラMRI装置の導入が平成30年度末に予定されているため,平成31年度から本格的に開始することにした.そこで本年度は,fMRI実験準備(課題装置作成,実験制御プログラミング等)を島根大学・小野田と早稲田大学・正木が完遂させる. 本年度より,早稲田大学・広瀬,正木を中心に,スポーツ医科学クリニック(早稲田大)において,ACL受傷アスリートのリハビリ過程における脳波データを取得する.怪我の程度と予測されるリハビリ期間を総合的に広瀬が判断し,本実験に適する参加者を選定していく.ACL再建後のリハビリ期間中に脳波データを継続的に取得する(正木). リハビリ過程は,①患部改善と筋再教育に関係する再建直後,②可動域・筋力・バランス能力改善に関わる訓練前期,③ジョギングを開始する訓練後期,④復帰準備期に分けて,段階移行期と訓練前後でERNを測定する.ACL損傷リスク肢位である膝関節外反位回避と股関節屈曲を伴う体幹の軽度前傾姿勢が運動学習課題であり,これらの習得過程におけるERNを調べる.
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[Presentation] Brain activities and facial skin blood flow response during motor imagery of the volleyball serve2017
Author(s)
Hirao, T., Yoshikawa, N., Masaki, H., & Hayashi, N.
Organizer
Abstracts of the Society for Psychophysiological Research 57th Annual Meeting, Vienna, Austria, 2017/10
Int'l Joint Research
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