2019 Fiscal Year Annual Research Report
An examination of neural mechanisms underlying error monitoring associated with recovery of motor function
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17H02139
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
正木 宏明 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80277798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 統一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00408634)
小野田 慶一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (60432712)
西多 昌規 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (10424029)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パフォーマンスモニタリング / リハビリテーション / エラー関連陰性電位 / 経頭蓋直流電気刺激 / 睡眠 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度では、右手把持で強度発揮した際のパフォーマンスモニタリング機能についてfMRIを適用して調べた。参加者は右手把握によって標的強度値を出力した後に、遂行結果の予測と確信度を回答し、視覚フィードバックを受けた。実験参加者の主観的正反応に対する「気づき」に関する脳活動を探索的に調べた結果、左頭頂弁蓋部の関与が示唆された。fMRI分析については、事象関連解析を正木・小野田で進めた。新しいプロトコルを適用し、フィードバックに対する予期過程について、行為と結果の随伴性と報酬・罰付加の観点から分析した。さらに刺激前陰性電位(SPN)との対応も検討した。これらの結果から、SPNに及ぼす主体感の効果は右前島皮質に起因することが示された(Psychophysiology誌で報告)。 6Hz交流刺激(tACS)または偽刺激の前後で、空間ストループ課題遂行中の脳活動をfMRIで測定した。遂行成績に及ぼすtACSの効果はなかった一方で、エラー反応時の前帯状皮質尾側部(dACC)と島皮質の頑健な活動は、偽刺激群に比較してtACS群で低下した。運動学習を促進するにはdACC活動を上方制御するアプローチの必要性が示唆された。 ACL受傷者から空間ストループ課題遂行時のエラー関連陰性電位(ERN)と正反応関連陰性電位(CRN)を記録した。ERNとCRNの差波形は対象群のそれよりも小さく、受傷の背景にはモニタリング機能の低さが関与している可能性が示唆された(広瀬・正木担当)。 西多は、継続的な仮眠が運動学習に与える効果を検証するため、仮眠群(連続3日間の仮眠)と仮眠無し群を比較した。回転角度(30度、60度、90度)によって難度を操作したrotation adaptation taskを採用した。1週間後の保持テストでは,仮眠群において所要時間が高難度条件(90度)で短縮する傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調な進展と判断する根拠は以下の通りである。代表者の所属機関における3テスラMRI導入も完遂し、事象関連デザインでの解析を本格的に推進することができた。力量発揮のパフォーマンスモニタリングに関する脳活動測定については、全体的な枠組みが完成したことで、継続的にデータ収集を進める段階に達した。また、事象関連解析に基づくデータ分析によってその知見をPsychophysiology誌で発表することもできた。ACL受傷者のパフォーマンスモニタリング機能についても当初の仮説に適合する結果を得た。ただし、ACLの受傷者自体が予想よりも少なかったことと、実験参加の協力が十分得られなかったことから、信頼性の高い結果とはまだ言えず、ACL受傷データ収集については遅れている状況となった。睡眠と運動学習との関係については、データが順調に集まりつつあり、動作スキルの記憶固定に仮眠が重要な役割を演じている可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
ACL受傷者数そのものが少なかったことに加えて、データ取得に協力を得られないケースが多く生じたため、発生頻度の高い捻挫に着目してデータを収集し直すことにする。しかしながら、COVID-19の影響で脳波、fMRI等の計測を見合わせている状況である。今後実験が再開できれば、データを追加していく。
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