2018 Fiscal Year Annual Research Report
Role switching ability depending on geometrical feature of behavioral coordination environment
Project/Area Number |
17H02141
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木島 章文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10389083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 基生 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
鈴木 聡 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70633816)
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40312392)
樋口 貴広 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (30433171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知覚運動制御 / 対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校2, 4, 6年生を対象とした実験を完了し,以下の結果を得た(現状も分析を続行している). 1) 三者跳躍課題の遂行に伴うミスの回数を学年間で比較した結果,第2学年以上になるとミスの回数が多くなる傾向が見られた.2年生においては一方向のみあるいは定型的に跳躍方向を切り替える組(例えば,左右1回ずつ交互に,あるいは2回ずつ交互になど)が7割がたを占め,第4学年以上になると不規則に跳躍方向を切り返す組が7割がたを占めていた.また第6学年では成人と同じく,反時計回り方向へ跳躍するケースが顕著に多くなった(平均で成功回数の7割). 2)先導跳躍者に対する他二者の遅れに関して学年間に有意差はなかったが,全ての学年における遅れ時間が,成人より有意に大きかった.また先導・追従性に差がない等質群においては,成人と同じく,正方形条件における遅れが正三角形条件における遅れより大きい傾向があった.また先導性に差がある異質群においては,成人とは逆に,正方形条件において先導児童が早期に跳躍することを示す二者先導(一者追従)型の協応パタンを示す傾向が強かった. 3)等質群では,三者の配置が対称な正三角形条件において三者それぞれが他を先導する確率が等しく(約33%),正方形条件では跳躍方向に空き地を持つ一者が先導する確率が抜きん出て高く,他の二者が先導することはほとんどなかった.これら協応パタンは成人のパタンと同じ性質であり,それぞれの地形における跳躍者の配置の対称性から群論に基づいて予測したパタンと一致する.一方で異質群においては先導児童が場の制約に反して先導する傾向が高かった.そこで現れるパタンの時空間対称性は地形から予測される対称性より低い.現在,跳躍者の個性が地形の幾何学対称性から予測される協応パタンの対称性が,そこに配置される跳躍者の個性によって崩れることを説明する数理モデルを検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
山梨大学教育学部ならびに東京学芸大学附属小学校の協力に負うところが大きい.また研究分担者の協力により実験がスムーズに進行したこと,また名古屋大学・Macquarie大学を中心とした研究協力者とのタイアップにより,理論的な検討が飛躍的に進んだことも大きく影響している.
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Strategy for Future Research Activity |
児童の実験を完了し,データ分析・学会発表の作業を進行させている.また論文投稿に向けたデータの検討も順調であり,現在,幼年から少年期の発達を専門とする研究者との連携を通して学年間の差を検討している. また小児神経科医のグループとの連携で,社会性に強い偏りがあるASD患者と健常者との三者跳躍課題を実施した.現在三次元動作データを解析しており,ASD者は他社の跳躍方向を見極めてから跳躍する傾向がある可能性を確認している.結果として三者協応システム全体の動作に大きな遅れが確認できると予想している. さらに現在,幾何学的対称性から群論に基づいて協応パタンの分岐を予測する計算機実験を計画している.そこで構築される三者跳躍エージェントをVR空間に投影してヒトの跳躍者と三者跳躍させることにより,児童の実験から確認されつつある,環境の幾何学的対称性と行為者の対称性との交絡によって協応パタンの対称性が低減する現象を,VR協応空間上に再現したいと考えている.ここから非対称な幾何学構造を持つ三者跳躍環境をVR空間上にデザインし,協応システムの安定性を減ずるように先導・追従性を変動させた人工エージェントに寄り添う経験を持たせることで,身体的社会性を育成する教育システムを構築する.
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Research Products
(5 results)