2018 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing development of motor functions during golden ages
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17H02143
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
内藤 栄一 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究マネージャー (10283293)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動野 / 体部位間抑制 / 活動の限局化 / 大脳小脳連関 / 機能的MRI / 拡散強調MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
人の生存にとって必要不可欠である運動機能の発達を調査した。2018年度は、特に手の運動機能に着目し、機能的MRIを用いて、運動野の体部位再現という機能分化を支える体部位間抑制や運動野の活動部位の限局化に関わる発達過程を調査した。右手運動中の脳活動を成人で計測すると、運動中には運動野の左手領域、足領域および顔領域の活動が抑制されていた。このような体部位間抑制は小学生でも傾向はみられるが、小学生から中学生にかけて顕著に発達することがわかった。また、右手指運動に関わる左運動野の活動は発達とともに限局化することも明らかにした。これらの成果は、Developmental Neurobiologyに投稿し、現在リバイス中である。また、 運動制御において本質的な役割を果たす大脳ー小脳連関に関して、拡散強調MRIを用いて大脳ー小脳ネットワークの解剖学的成熟過程を解析すると、この遠隔領域間の脳内神経線維は小学生ではまだ未成熟で、中学生、成人になるにつれて、ゆっくりを成熟していくことが分かった。同様に、機能的MRIを用いた大脳ー小脳ネットワークの機能的連携の成熟過程においては、小学生では小脳内の局所的機能結合が成人よりも高く、成人では運動野(大脳)と小脳という遠隔領域間の機能結合が高まるように成熟することが分かった。これは、局所的機能結合から遠隔領域間機能結合へという脳の発達原理が、運動機能において本質的な役割を果たす大脳(運動野)-小脳連関においても観察されることを世界ではじめて示した研究となった。この成果は、Amemiya et al. (2019) Brain Structure and Function DOI 10.1007/s00429-018-01821-5で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り、運動野の体部位間抑制の発達や活動の限局化に関する成果を得ることができた。また、大脳ー小脳連関に関しては、機能的MRIや拡散強調MRIを用いて、局所的結合から遠隔領域間結合への発達という発達の原理を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終目的である協調運動機能に関する脳内神経基盤の発達を調査する。2018年度に明らかにした大脳ー小脳連関はこの機能の主要な神経基盤と想定されるため、特にこのネットワークに着目した研究を展開する。また、この成果の国際的一流雑誌への投稿を目指す。
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