2018 Fiscal Year Annual Research Report
バイオロジカルモーションを用いた対人技能ダイナミクスの解明
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17H02152
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 裕二 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (30191456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木島 章文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10389083)
横山 慶子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 講師 (30722102)
奥村 基生 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対人技能 / ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年構築した実験系を用いて,投手の投球動作を映像としてスクリーンに呈示し,それに対する打者の動作を計測した.まず,投手の投球動作をビデオとモーションキャプチャで記録した.今年度はビデオ映像を用いて投球準備動作のみを時間的に伸張・短縮加工し,投手のボールリリース後のボールの球速は同じになるようにして,そのビデオ映像に対する打者の反応を計測する実験を行った.実験は3種類行われた.1) 投球準備動作の長さ(速さ)が異なる2種類の映像(ボールリリース前までの投球準備動作のみ)を連続して呈示し,どちらが速いかの球速判断を行わせる.2) 投球準備動作の長さ(速さ)が異なる2種類の映像をボールリリース後から打者の位置まで飛んでくるボールの軌道まで呈示し,どちらが速かったかの球速判断を行わせる.3) 投球準備動作が速い,通常,遅いの3種類の映像(打者の位置までのボールの軌道あり)に対して,実際にボールを打つタイミングで素振りを行う.そしてその打撃動作をモーションキャプチャと小型床反力計測装置を用いて計測した.その結果,投球準備動作のみを見て判断した場合も,ボール軌道まで見て判断した場合も,投球準備動作の速度に球速判断が引きづられる,すなわち,速い投球準備動作は球速が速いと予測あるいは判断していた.しかしながら,ボールの軌道を見た場合の方がその確率は低かった.さらに,実際にバットを振る場合においても,打撃準備動作は投球準備動作の速度によって,影響を受けることが明らかになったが,タイミング一致誤差には大きな違いは見られなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは新たに導入した実験系において,ビデオ映像を用いたものではあるが,知覚判断実験から実際の動作の測定までできたことは大きな前進である.また,対照実験としてビデオ映像を用いたことによって,今後行うバイオロジカルモーションでの実験との比較が可能になったことが大きい.また,ビデオ映像による動作のわずかな速度の違いによって,その後の予測や判断に大きな影響を及ぼし,動作をも変えてしまう可能性が示唆されたことは,対人技能における二者間の駆け引きや他者の「気配」を感じる仕組みを解明する上で大きな発見である. さらに,この実験の基礎となる打者の打撃準備動作に関するフィールド研究と,理論的枠組みに関するレビュー論文を国際誌に掲載できたことも大きい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は前年度と同じ投手の投球動作をバイオロジカルモーションで呈示することによって,どのような情報の違いがこの予測や判断に影響を及ぼすかを検討することである.つまり,バイオロジカルモーションでは呈示する光点の数や位置を自由に操作でき,どの部位の運動情報が正確な予測,あるいは誤った予測を生み出すのかを検討することができる.さらに,より熟練した打者を対象に,この実験を行うことで,対人技能ダイナミクスの解明につなげていく.
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Research Products
(11 results)