2020 Fiscal Year Annual Research Report
がん検診受診勧奨プログラムの開発:行動変容型と機会提供型の費用対効果の多面的比較
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17H02165
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
宮松 直美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90314145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 智教 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00324567)
辰巳 友佳子 帝京大学, 医学部, 講師 (00757685)
志摩 梓 滋賀医科大学, 医学部, 客員准教授 (20635958)
西川 智文 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (20647945)
呉代 華容 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30708681)
田中 英夫 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (60470168)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん検診 / 受診勧奨 / 乳がん / 産業保健 / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行がんの予防には、検診受診率向上による早期発見が不可欠である。がん検診の受診勧奨としては、主体的な行動変容を重視し知識や情報提供を行う方法(行動変容型介入)と、検診受診へのハードルや個人の心理的時間的負担感を低くするような受診機会提供による方法(機会提供型介入)とがあるが、いずれの介入が効果的かの科学的評価はこれまでに十分に行われていなかった。そこで、本申請課題では、乳がん検診受診率を指標として、両介入の効果を事業所ベースの比較対照研究により検討している。 2018年度に乳がん検診受診に関するベースライン調査を実施し、その後事業所単位で無作為に割付、乳がん険峻受診勧奨介入を実施した。その後。2019年度の介入後の乳がん検診受診に関する調査を経て、予定より遅れたものの、2021年度に主要評価項目にかかる匿名化データセットを研究協力機関から提供していただくことができた。分析の結果、介入後1年間の乳がん検診受診率は、従来型の行動変容型受診勧奨を行った対照群では12%であったのに対し、マンモグラフィ検診の機会を提供した介入群では54%であったことが示された。すなわち、職場にマンモグラフィ検診車を派遣するという機会提供が、大きな検診受診率向上に結び付くことが示唆された。学術成果としては、本結果について2021年の14th European Public Health Conference(第14回欧州公衆衛生学会)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、主要解析用のデータセットは2020年度に提供される予定であったが、協力機関の業務上の理由等により、データ提供が2021年に遅れた。しかしながら、2020年度計画に関しては2021年度の事業延長期間中に完了した。また、乳がん検診への介入効果が他臓器がんの検診受診率や生活習慣病管理等に波及するかについての検討を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響から研究協力機関におけるデータ作成作業に更なる支障が出ており、新型コロナウイルス感染症の影響から研究協力機関におけるデータ作成作業に更なる支障が出ており、2021年度末時点でデータ未取得である。そこで、波及効果の分析のため再度の事業期間延長申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
主解析の結果については、論文公表に取り組むと共に、より詳細な下位解析を進める。また成果の社会還元として、産業保健・がん二次予防に関する教育的講演等の機会が得られれば、積極的に成果を周知する。加えて、次年度事業期間において多臓器がんの検診、健康診断データ、およびレセプトデータと突合したデータの提供を受け、解析を進める予定である。ただし、諸般の事情から困難な場合には、まずは健康診断データと突合したデータの解析および成果公表を行うなど、有用な報告につなげる所存ある。
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