2017 Fiscal Year Annual Research Report
Dysregulation of lysosome/mitochondrial interaction in obese adipose tissue
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17H02179
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
樋上 賀一 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (90253640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 満 佐賀大学, 医学部, 教授 (00325648)
小林 正樹 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 助教 (30795612)
沖田 直之 公益財団法人佐々木研究所, 附属研究所, 部長(移行) (60453841)
中川 嘉 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80361351)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / 肥満症 / カロリー制限 / リソソーム / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満症病態における様々な細胞内小器官間の機能連関とその破綻に関する研究は少ない。我々は、肥満症脂肪組織の初期病態形成に、リソソーム機能異常特にカテプシンL活性低下に伴うカテプシンBの代償的活性化が重要であること、一方、肥満症の対極に位置するカロリー制限が、脂肪酸合成転写因子Srebp1c制御下にミトコンドリア生合成関連転写補助因子Pgc1α発現の亢進を介してミトコンドリア生合成を亢進し、酸化ストレスを抑制することを明らかにした。本研究では、脂肪組織の質をリソソーム/ミトコンドリア/核での遺伝子発現相互作用の観点から検証する。そして、肥満症初期病態形成にリソソームやミトコンドリア障害を起点とした核/再びリソソームやミトコンドリア障害への悪性サイクルが関連すること、加えて、この悪性サイクルの抑制やカロリー制限の表現型模倣により、その破綻を予防・改善し、脂肪組織の質を維持することが可能であることを明らかにする。 その結果、以下の点を明らかにした。1)カテプシンLの活性低下のみでは、脂肪細胞機能は低下しないこと、2)肥満症脂肪組織ではカテプシンL活性低下と同時期の早期からPgc1α発現が低下すること、3)カロリー制限によりSrebp1c制御下にPgc1αとミトコンドリアシグナルペプチダーゼであるMipepの発現が増加すること、4)カロリー制限によりMipepはSirt3など一部のミトコンドリアタンパク質の活性化を介してミトコンドリアの質の向上に関わっていること、5)Pgc1αとMipepの両因子の発現増加により脂肪細胞の機能が向上する可能性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カテプシンLの活性低下のみでは脂肪細胞の機能低下が生じなかったこと、全身性のMipepノックアウトマウスが胎性致死であったためマウス自体に加えMEFsの採取も困難であったこと、Pgc1αノックダウン細胞株の作製が困難であったことなどが原因で、進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
A.動物モデルの作製と飼育 1)3種の遺伝子欠損マウス(Srebp1c全身ノックアウト(KO)マウス、Pgc1αおよびMipepに対するAdiponectin-Creシステムを用いた脂肪組織特異的KOマウスおよびそのコントロール野生型マウスにおいて、高脂肪食摂餌誘導性肥満群(HFD)、通常食自由摂食群(ND)、カロリー制限群を作製し、適宜、安楽死させて、臓器を採取する。 B.上記マウス脂肪組織におけるリソソームおよびミトコンドリア機能不全メカニズムの解析 1)肥満症やカロリー制限マウスの脂肪組織の機能、リソソーム機能、ミトコンドリア機能、酸化ストレス、遺伝子発現における3つの遺伝子のKOの影響を検討する。 C.肥満症におけるリソソームやミトコンドリア機能不全を模倣した脂肪細胞株を用いた解析 1)カテプシンLとSrebp1c、カテプシンLとPgc1α、カテプシンLとMipepなど2因子をノックダウンした細胞株やMEFsを作成して、脂肪細胞機能、リソソーム機能、ミトコンドリア機能、酸化ストレスに及ぼす影響などを評価する。2)上記細胞を用いて、リソソーム機能とミトコンドリア機能との相互作用、遺伝子発現の変化によるリソソーム/ミトコンドリア/核連関を明らかにする。3)リソソーム機能低下とミトコンドリア生合成能の低下との連関のメカニズムを明らかにする。
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Research Products
(17 results)