2018 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of the mechanism for Japanese paradox regarding ischemic heart disease by using microRNA
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17H02184
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 良二 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00461088)
大門 貴志 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40372156)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 虚血性心疾患 / 動脈硬化 / 血管平滑筋細胞 / 人種差 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では欧米先進国に比べて虚血性心疾患による死亡率が著明に低いが、その原因についてマイクロRNA (miRNA)に着目し検討した。前年度に実施した網羅的解析により、日本人とオーストリア人(欧米人の代表として)の血中に発現するmiRNA2565 種類の中で、直接の比較に十分な発現レベルを示したmiRNAは821種類であった。そのうち、372種類のmiRNAに両国間で有意差を認め、さらに12種類については、これまでその血中レベルが虚血性心疾患と関連することが報告されていた。 この12種類のmiRNAについて、主成分分析を実施したところ、miR-106a-5p、miR-16-5p、miR-17-5p、miR-191-5p、miR-451a、miR-92a-3p が第1主成分を構成し、これらの血中発現レベルの間には強い相関関係を認めた。第2主成分を構成するmiRNAはmiR-135a-3p,、miR-150-3p、miR-320b、miR-663bであった。miR-2861はオーストリア人のみを対象とした分析では第2主成分に含まれたが、日本人を対象とした分析では単独で第3主成分を構成した。 さらにIPAにてパスウエイ解析を実施した。上記12種類のmiRNAを用いた解析では、虚血性心疾患の基礎病変である動脈硬化のパスウェイ上の分子で有意な関連を示すものは見当たらなかった。一方、両国間で有意差を示した372種類のmiRNAを用いて解析したところ、血管平滑筋細胞のコラーゲンおよび泡沫細胞のサイトカイン(IL-1、IL-6、IL-8、TNF)とMMP (3,9)がmiRNAの標的分子として有意な関連を示した。 以上の研究結果を現在論文として投稿中である。また、これらの情報をもとに、現在ヒト冠動脈血管平滑筋を用いて、新規のmiRNAによる血管平滑筋細胞の分化調節機構について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である平成29年度の研究において、海外の共同研究者を変更せざるを得なかったため遅れが生じ、さらに平成30年度の研究ではmiRNAに関する最新の研究データ収集のため、研究の進行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究の遅れを取り戻すべく、これまでの疫学研究から得られた結果を基に実験研究に励んでいる。また、疫学研究結果を用いて、今後さらにバイオインフォマティクス研究により、血中miRNAの虚血性心疾患における意義に関する新知見を得るべく努める。
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