2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Highly Functionalized Serum Albumins as Boron Delivery Carries to Tumor for Neutron Capture Therapy
Project/Area Number |
17H02202
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30274434)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生体分子 / 中性子捕捉療法 / 化学修飾 / ホウ素 / がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
低侵襲がん治療法として注目されているホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、ホウ素薬剤 BPAと加速器中性子源との組み合わせによる頭頸部腫瘍への治療が2020年3月にPMDAにより世界に先駆けて我が国で承認された。本研究では、BPA非感受性がん患者に対する BNCT適応疾患拡大の実現を目的とし、ヒト血清アルブミン(HSA)をホウ素キャリアとした次世代BNCTを構築し、根治を目指した低侵襲型ホウ素デリバリーがん治療システムを確立することを目的としている。まずHSAのフリーSHを有するCys34への環状RGDペプチドを導入し、続いてLys残基にMIDを導入することで、腫瘍へのターゲティング機能をもつHSAが創生できると考えた。環状RGDペプチドにリジンを介してその側鎖にマレイミドを導入したc[RGDfK(Mal)] を合成した。このc[RGDfK(Mal)] を HSAに対し濃度を変えて反応させ、マレイミドードエカボレート複合体(MID)10当量と反応させた。MID抗体を用いてHSAへのMID結合量を測定した結果、その結合量に大きな変化はなかったことから、環状RGD導入MIDHSA(c[RGDfK(Mal)]-MID-HSA)のそれぞれの混合比は1.3 : 10 : 1を最適条件とした。次に、環状RGDペプチドをCys34に導入したMID-アルブミンを用いて、がん移植マウスでの腫瘍へのホウ素デリバリーを検討した。具体的には、このc[RGDfK(Mal)]-MID-HSAに対し、さらに近赤外蛍光色素Cy5をHSAの未反応のリジン残基に導入した。このCy5-c[RGDfK(Mal)]-MID-HSAをマウス大腸がん移植マウスに尾静脈注射して、その体内分布の経時変化を近赤外イメージャーを用いて追跡した。その結果、投与後8~12時間で腫瘍への高い集積性が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度途中に、ホウ素キャリアの大量合成に必要な合成装置が故障したため、当装置の修理・調整が必要になり、動物実験用ホウ素キャリアの大量合成まで3ヶ月を要した。その結果、平成31年1月の京都大学複合原子力研究所で原子炉を利用した動物照射実験が行えず、平成31年2月から原子炉は点検期間となり利用できなくなったため、再稼働される平成31年9月まで延期せねばならなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
京都大学複合原子力研究所原子炉が再稼働される平成31年9月までに、がん移植マウスを用いた各臓器におけるホウ素集積濃度をICP-OESを用いて実際の測定し、本年度で明らかにした近赤外蛍光色素を用いた生体内分布との整合性を検証することで、より確実性の高い動物照射実験を遂行する。
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Research Products
(25 results)