2020 Fiscal Year Annual Research Report
Synthetic strategy for chemical methylome analyses
Project/Area Number |
17H02213
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
五月女 宜裕 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50431888)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / タンパク質メチル化 / 検出プローブ / 阻害剤 / プロテオーム / 非ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質メチル化反応は、近年注目を集める翻訳後修飾である。しかしながら 、メチル化されたタンパク質を効率的に濃縮する方法が限られているため、酵素と基質タンパク質を紐付けるメチローム解析は遅れている。特に非ヒストン のメチル化反応の同定、機能解明が大きな命題である。 本研究の目的は、合成化学に立脚した低分子プローブの創出と解析技術を開拓することで、未知のタンパク質メチル化反応の解析と制御を革新させることである。具体的には、課題1: 新検出プローブの創出、課題2: 酵素および基質選択的阻害剤の開発、課題3: 酵素/基質/メチル化サイトの同定、課題4: 階層を超えたエピゲノム制御への展開に取り組んできた。それぞれの問題点を化学・生物双方の視点から検証を繰り返し行うことで、境界領域の壁を取り払い、真に使える知識・技術を蓄積させることが狙いである。 これまでの研究において、天然のメチル源であるSAM (S-adenosylmethionine) を基盤として設計したProSeAM (propargylic Se-adenosyl-L-selenomethionine) をプローブとして用い、ケミカルメチローム解析を進めてきた。しかし、反応点が内在するメチル化酵素により既に埋められたタンパク質基質は、過剰の酵素とProSeAMを添加しても、プロパルギル基を導入することができない。一方、我々は、酵素AのKO細胞に、対応するリコンビナント酵素AとProSeAMを添加することで、より解像度高く欲しい修飾反応を探索する手法を発信している (第2世代検出法)。昨年度は、本系をMETTL9に応用することで、ヒスチジンのpi位のメチル化反応を発表することができた (Nat. Commun. 2021, 12, 891)。未だ隠されたメチル化反応を検出することを目指し、更なる改良法についても検討を行い、重要な進展を得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに得られた知見を応用して、ヒスチジンのpi位のメチル化反応を見出すことに成功した。メチル化ヒスチジンを濃縮することが可能なpan抗体は未だ存在しないことから、化学と生物のシナジー効果を顕著に示した成果である。また、検出に関する化学的な進展に加えて、共同研究を通じて、本反応の生物学的機能の解析についても重要が進展を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、我々はProSeAMを検出プローブとして用い、メチル化酵素/基質/修飾サイトを分子レベルで紐づけるための新手法を確立することができた。LC/MS-MSに基づく網羅解析により報告されているメチル化修飾サイトの数と比較すると、我々の手法で検出できるタンパク質は未だに少ない。最終年度をむかえる来年度はこれまでの知見を総動員させ、体の中に未だ隠された新規反応をあぶり出すための改良法の開発に力点を置く。
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Research Products
(9 results)