2017 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマーモデル動物・辺縁系神経細胞の電気およびCa蛍光活動インビボ同時解析
Project/Area Number |
17H02223
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
加藤 伸郎 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10152729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 治紀 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (30126015)
小野 宗範 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (30422942)
山本 亮 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30447974)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 認知症 / マウスモデル / 細胞内カルシウム / シナプス可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスパイク幅の正常化が認知症状の改善に至るメカニズムを、脳の深部で神経電気活動と光現象を同時に記録できる測光パッチ電極(PME)を用いて、本手法の長所である深部脳組織での電気および光応答の同時記録可能性を駆使して、光刺激AD治療法の神経生物学的な基盤メカニズムを明らかにすることをめざして来た。 当年度は、第一にPMEによる計測をADモデルマウスのひとつであるトリプルトランスジェニックマウス(3xTg)に適用し、電気生理的計測とカルシウム測光を同時施行し、野生型とADモデル間で海馬のシータ波とそれに随伴する集合的カルシウム記録し、両者化間の違いをマクロ的に見出すことを進めた。その結果、集合的カルシウム増加にはADモデルにおいて低下傾向にあった。現在、ADモデルにおいても行動実験で測定される認知機能には個体差が見られるため、実際に空間学習や識別学習などの課題をさせて、ADモデル個体間で認知能力およびシータ波惹起性歩行行動に随伴するカルシウム増加の間に相関があるかどうかの確認を進めている。第二に、行動ではなく感覚入力にともなう海馬カルシウム増加も記録できるようになった。体性感覚と聴覚の入力における海馬カルシウム増加においてもADモデルで低下傾向が見られた。有意低下を効果的に検出するための工夫として、エアパフと音を組み合わせたトレース瞬目反射の活用を進めている。第三に、光刺激がADマウス認知学習を改善する際の刺激パラメータ検討の一環として、10Hz刺激の有用性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、光刺激がADモデルで認知機能を改善する神経生物学的メカニズムの解明を目指している。細胞内AβによるBKチャネル抑制がどのようにして認知異常を導くかの解析がポイントのひとつである。具体的にはシナプス可塑性と細胞死へ導く細胞内カルシウムシグナルがどのように異なるかを検出しようとしている。実験では、まずPME記録システムを使って海馬から記録することを可能にできた。測定の比較的容易な集合電位と集合的カルシウム増加の同時計測を施行しながら記録感度を高めることに注力し、集合的ではなく単一細胞からの記録もできるような状態を目指して改良を試みた。その過程で電極を太くすると充分な光量の供給と計測が可能となることは判明したが、その場合には分解能は低下するなどの問題に遭遇し、なお改良を重ねているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
単一細胞記録にも適した細さの電極先端でも充分なカルシウムシグナルが検出できるように続けて改良を進める。シータ波惹起性歩行行動に随伴するカルシウム増加と認知能力との間に相関があるかどうかを調べる。光刺激入力による細胞内カルシウム検出は本研究が目的とする光刺激AD治療法のメカニズム解明には不可欠であるが、未施行のためこれに注力する。
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