2019 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of the British Composite State and the Regional Connections
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17H02231
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岩井 淳 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70201944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲丸 英起 北海学園大学, 人文学部, 准教授 (00736887)
山本 正 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (10200817)
山本 信太郎 神奈川大学, 国際日本学部, 准教授 (10645344)
小林 麻衣子 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 教授 (20440109)
菅原 秀二 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (40216297)
道重 一郎 東洋大学, 経済学部, 教授 (40239273)
那須 敬 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (40338281)
竹澤 祐丈 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (60362571)
指 昭博 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (90196197)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブリテン史 / 複合国家 / イングランド / ウェールズ / スコットランド / アイルランド / アメリカ植民地 / ピューリタン革命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「複合国家イギリス」の形成過程を、イングランドだけでなく、ウェールズやスコットランド、アイルランド、アメリカ植民地といった諸地域の動向に留意して考察するものである。2019年度は、ウェールズの視点を研究代表者の岩井、分担者の山本信太郎、指が、スコットランドの視点を分担者の小林が、アイルランドの視点を分担者の山本正、菅原秀二、那須、竹澤が、アメリカ植民地の視点を分担者の道重が担い、各地域に立脚した実証的な研究を継続した。研究協力者の辻本は軍隊を、菅原未宇は教育を、それぞれテーマとした。 その際、留意したのは、各地域を別個に扱うのではなく、地域的連鎖という観点から各地域間の相互連関を重視し、関係史的・比較史的アプローチを心掛けたことである。分担範囲は、2017年度の研究会でおおむね定め、9月9-11日の北海学園大学での研究会と2月22-24日の大阪経済大学での研究会において、代表者と分担者は各研究テーマの進捗状況と史料分析の成果を報告し、報告者相互間のすり合わせをし、調整をはかった。 その結果、従来は絶対王政の成立、ピューリタン革命の原因・展開、名誉革命の原因・帰結という視点からイングランド中心に語られることの多い16-18世紀ブリテン諸島の歴史を、本研究では、ウェールズやスコットランド、アイルランド、アメリカ植民地といった諸地域まで視野を広げて考察することができた。研究者の中には、本年度、日本の各大学だけでなく、連合王国での史料調査に従事した者がいた。とくに分担者の道重と協力者の辻本、菅原未宇は分担金を用いて、連合王国での調査と研究発表に従事した。代表者の岩井も、8-9月にロンドン大学歴史研究所において史料調査を行うことができた。本年度は、共同研究の内容を整備・拡充した充実の1年であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「複合国家イギリス」の形成を、諸地域の動向に配慮して考察するものである。2019年度は、ウェールズ史を代表者の岩井、分担者の山本信太郎、指が、スコットランド史を分担者の小林が、アイルランド史を分担者の山本正、菅原秀二、那須、竹澤が、アメリカ植民地史を分担者の道重が、それぞれ担当し、各地域に立脚する実証的な研究を継続することができた。また、研究協力者の辻本は軍隊を、菅原未宇は教育を、それぞれ研究テーマとした。 その際、注意したのは、各地域間の相互連関を重視し、関係史的・比較史的アプローチを行ったことである。各研究者の分担範囲は、2017年度の研究会において、おおよそ定め、9月の北海学園大学での研究会と2月の大阪経済大学での研究会において、代表者および分担者・協力者は各研究テーマと史料分析の成果を報告し、報告者相互間の調整を行った。これによって、各人は研究範囲と主題を絞りこみ、独自に研究テーマを深めることが可能となった。例えば、近世ウェールズ史において、岩井は1536-43年のイングランドとの合同によるウェールズ社会の変容を取り扱い、山本信太郎は16世紀後半の宗教改革の進展をウェールズに即して検討し、指は16-17世紀におけるウェールズ人のアイデンティティ形成を考察するといった具合である。これらによって、関連しながらも相互にすみ分けるように研究範囲を定め、今後の方向性を定めることができた。 もちろん、実質的な研究は、各研究者の個別テーマを尊重し、その内容を咀嚼しながら、相互関係を意識し、展開することになる。これらは最終年の課題となるが、共同研究の3年目である本年度は、非常に有益な1年間となった。本研究は、おおむね順調に進んでいると評価できるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、「複合国家イギリス」の形成を、諸地域の動向に配慮して考察するものである。2019年度は、ウェールズの視点、スコットランドの視点、アイルランドの視点、アメリカ植民地の視点を、各人が独自に深めた。「複合国家イギリス」の構造と連関の解明に向け、イングランド史だけに偏重しないブリテン史の樹立を目指すべく、地域史研究に従事した。 2020年度は、各地域を個別に深めるだけでなく、より一層、地域的連鎖という観点から各地域の相互連関を重視し、関係史的・比較史的アプローチを心掛けたい。また、分担範囲に関しても、スコットランドが少し弱いので、ウェールズやアイルランドの研究者が、比較や関係といった視座から近世のスコットランド史にアプローチし、スコットランド研究を補強する予定である。 今後は、第一に、各研究者が日本の大学だけでなく、連合王国での史料調査に積極的に従事し、史料収集を精力的に進める。それによって、ウェールズやスコットランド、アイルランド、アメリカ植民地といった諸地域の動向に留意する本研究のメリットを発揮したい。第二に、個別の知見を持ち寄り、各研究者間の情報交換を緊密にするためにも、研究会および研究合宿の開催は必須であろう。 具体的には、2020年9月に仙台の東北学院大学において研究会を、2021年2月に熱海において研究合宿を開催する予定である。第三に、研究会を通して、各研究者の研究分野と担当時期を調整・確定し、各研究テーマに即した史料分析の成果をもちより、個別報告の有機的関連を追究することによって「複合国家イギリス」の形成過程を解き明かす計画である。それ等を踏まえて、共同研究の成果を論集として実現させたい。
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