2017 Fiscal Year Annual Research Report
An Interdisciplinary Study of the Interaction between Utterances and Social Contexts in terms of Dynamic Modal Logic
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17H02258
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
山田 友幸 北海道大学, 文学研究科, 特任教授 (40166723)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 勝彦 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (20456809)
金子 守 早稲田大学, 政治経済学術院, 特任教授 (40114061)
東条 敏 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90272989)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 言語行為 / コミュニケーション / 証明論 / ゲーム理論 / 人工知能 / 発話行為 / 義務論理 / 動的論理 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究により、山田は主張と譲歩の言語行為の慣習的効果が動的認識義務論理で表現できること、動的認識義務論理による言語行為の分析が Searle の社会制度理論における発話の地位機能を捉えていることと、指令の論理が道徳的ジレンマと義務違反状況の論理的特徴づけに応用できることを明らかにした。また山田と佐野は、山田の指令の論理を佐野がゲンツェン流式計算の形で定式化した体系と、Seligman の常識的様相述語論理の共同研究を開始し、良好な感触を得ている。
また佐野は van Benthem と Liu の関係変化プログラムの論理を式計算として再定式化し、カット除去定理と完全性を証明したほか、エージェント間の関係と、知識・信念の伝播を扱う Liu らの認識論理の Hilbert 流公理系の問題を解決した。
佐野と東条は、裁判における証拠の累積による裁判官の非単調な信念変化と証言者への信頼度の変化を記述する論理的枠組みを提案し、実際の裁判事例の分析を行った。東条はまた裁判に臨む各エージェントの心証変化を表現する際の予見可能性の扱いに関心の違いの概念を導入し、従来のDEMOシステムに組み込むことに成功した他、隣接関係の行列でグラフを表現する手法により可能世界意味論を分析し、動的認識論理のモデル更新演算が行列に対する線形変換のプログラム列として実現できることを示した。
金子は、地球が人類と人類活動に比較して小さくなっている時代においてどのような社会経済思想が必要かを帰納的ゲーム理論の全体像に関連させて解明したほか、基礎的な研究と応用の両面から帰納的ゲーム理論の研究を進めるとともに、ゲーム理論で必要になる共通認識等の無限概念を表現するために無限連言を許すように認識論理を拡張した構成的で完全な体系の定式化に成功した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者と分担者は、それぞれおおむね当初計画どおりの課題に取り組み成果を上げており、部分的には当初の計画以上に進んでいる点もある。エージェント間の関係と、知識・信念の伝播を扱う Liu らの認識論理の Hilbert 流公理系の問題を解決した佐野の成果は予想外の進展であり、また裁判に臨む各エージェントの心証変化を表現する際の予見可能性の扱いに関心の違いの概念を導入した東条の研究は2018年度の計画を一部前倒ししたものである。しかし山田と佐野が開始した動的義務論理の式計算体系の研究は、着手が当初計画より若干遅れたため、全体としては「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
動的義務論理の式計算体系の研究の着手が遅れたのは、当初予定していなかった Seligman の常識的様相述語算の研究を取り入れたことによるが、遅れはすぐに取り戻せる程度であり、メリットのほうが大きい。様相述語算（様相述語論理）においては、量化子（「すべてのx」、「少なくとも一つのy」等の表現）と様相演算子（「可能的に」、「必然的に」等の表現）の交錯により可能的存在者や必然的存在者をめぐる様々な形而上学的難問が生じ、盛んに論じられてきたが、それが認識論理や義務論理への量化の導入の障害になっている。しかし義務論理の難問のいくつかは量化をもたない体系では満足いく解決が困難であり、量化の導入はいずれ取り組まなければならない課題であった。本研究の研究協力者である Seligman の常識的様相述語算（現時点では未出版）は、形而上学的に疑問の余地ある帰結をともなわない自然な量化の扱いを可能にする重大なブレークスルーとなる可能性があることから、そこに義務様相と認識様相を導入できれば、本研究の成果の実社会の問題への適用の可能性を著しく広げることが可能になるので、常識的様相述語算の研究を本研究に取り入れたものである。
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| Strategy for Future Research Activity |
上述のように動的義務論理の式計算体系の研究の着手の遅れは些細なものであり、すぐに取り戻すことが可能である。むしろ常識的様相述語算への義務様相と認識様相の導入のための研究を本研究に組み込んだことにより、本研究の多様な応用の可能性が広がることが期待される。これに関しては、山田と佐野は、まず Seligman による常識的様相述語算の完全性の証明の分析（必要ならば改善）を完了させたうえで、2018年度中に義務様相の導入と多エージェント版の義務様相の導入を段階的に試みる。その上で2019年度には、動的様相の組み込みを試み、2020年度には認識様相を組み込む研究を開始したい。これが実現すれば画期的な成果となることが期待される。
これとは別に、2018年度のできるだけ早い時期に一度、本研究のメンバーで合宿を行い、それまでの成果を共有し、更なる共同研究の促進につなげたい。
なお2017年度に計画していた本研究のキックオフ・ワークショップは、同年９月に本研究の研究協力者を含む関連分野の多数の研究者が参加する国際会議 LORI VI（第６回論理・合理性・相互行為国際会議、 http://golori.org/lori2017/ ）を北海道大学で開催することになり、山田がオーガナイザ、佐野がプログラム委員、東条がセッションチェアを務めたため、この機会を生かして LORI VIの併催イヴェントの一つ LORI MEETS LOG-UCI（LOG-UCI は本研究の略称、 http://golori.org/lori2017/coloc_evt.html ）という LORI会場でのポスター掲示によるキックオフ宣言に変更して実施が終了しており（ポスター印刷は所属機関の現有設備で行えたため本科研費からの支出はない）、2018年度以降に計画している行事も計画通り実施する予定である。
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[Journal Article] Axiomatizing Epistemic Logic of Friendship via Tree Sequent Calculus2017
Author(s)
Katsuhiko Sano
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Journal Title
A. Baltag, J. Seligman, and T. Yamada (eds), Logic, Rationality, and Interaction, 6th International Workshop, LORI 2017, Sapporo, Japan, September 11-14, 2017, Proceedings
Volume: -
Pages: 224-239
DOI
Peer Reviewed
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