2017 Fiscal Year Annual Research Report
古代西アジアにおける宗教と福祉の相互関係をめぐる綜合的実証研究
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17H02275
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
月本 昭男 上智大学, 神学部, 教授 (10147928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田澤 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (30598587)
津本 英利 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
松村 一男 和光大学, 表現学部, 教授 (70183952)
下釜 和也 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (70580116)
小野塚 拓造 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (90736167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 古代西アジア / 宗教と福祉 / 障碍 / 孤児と寡婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は本研究の三班(考古学班、神話学班、文献学班)ともに、主として、先行研究を渉猟するとともに、資料収集およびその整理に携わった。考古学班は夏季休暇を利用して、津本英利、小野塚拓造両分担研究者がイスラエルにおける考古学調査に参加し、下釜和也研究分担者はイランにおける考古資料調査を実施した。神話学班は分担研究者各自が障碍神、奇形神などに関わる神話資料を蒐集した。文献学班は、柴田大輔研究分担者は主にミュンヘンにおいて楔形文字文献における福祉関連資料を蒐集し、田澤恵子分担研究者および研究代表者は、3月の春期休暇を利用して、考古学班津本英利氏とともに、キプロスの遺跡ならびに複数の博物館において、資料調査を実施した。 各研究班による資料調査をふまえた研究会をそれぞれ開催したが、2月12日(月)の休日に古代オリエント博物館の研究施設を利用して、全体会議を開催し、在独の柴田大輔氏を除く、研究分担者全員が資料の紹介と研究成果を発表した。それに加えて、坂大真太郎氏(立教大学大学院後期課程)に文献学班の研究協力者としてヘレニズム期の福祉関連資料とその分析を、同じく江原聡子氏(東京大学大学院前期課程)に初期イスラム時代の福祉に関わる術語の分析を発表してもらった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は本研究課題の初年度であり、各研究班とも、先行研究の渉猟と資料収集を主な課題とし、研究課題はおおむね順調に推移したと考える。ただし、最大の課題としては、考古学班においては、出土した人骨の分析から、障碍を析出した資料がきわめて少ないことが判明した。そのために、古代における各地域の障碍者福祉に関する総合的研究は用意でないことが予想される。他方、子供の埋葬などは比較的資料が整っており、児童福祉面では資料が集められるものと予想される。 神話班では、ギリシア神話において、盲目神をはじめとする障害神や奇形神の役割が小さくないことが予想される。文献学班では、孤児と寡婦の保護が古代メソポタミアの伝統を形成していたこと、それが旧約聖書にも受け継がれていることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、さらなる資料収集と平静29年度に蒐集した資料の分析を中心に研究が進められる予定である。各班はそれぞれに研究会を開催するとともに、夏季休暇の10月と春季休暇にはいる2月にそれぞれ全体会を開催し、各班横断的に情報を共有するとともに、研究分担者および研究協力者による研究発表をしてもらう計画である。それらの発表は、相互批判を経たのち、平成31年度中には論文としてまとめ、学術論集として刊行し、当該研究の成果を公にしたいと考える。
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Research Products
(13 results)