2018 Fiscal Year Annual Research Report
古代西アジアにおける宗教と福祉の相互関係をめぐる綜合的実証研究
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17H02275
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
月本 昭男 上智大学, 神学部, 教授 (10147928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田澤 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (30598587)
津本 英利 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
松村 一男 和光大学, 表現学部, 教授 (70183952)
下釜 和也 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (70580116)
小野塚 拓造 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (90736167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 古代西アジア / 宗教と福祉 / 寡婦と孤児 / 小児供儀 / 身体障碍と考古資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、津本英利、田澤恵子、柴田大輔、下釜和也、小野塚拓造の5名の研究分担者が、夏季、冬季、春季休暇を利用して、海外の当該地域において、各自の研究課題に関する海外資料調査ならびに考古調査を実施した。その成果は、秋季および春季に(公財)古代オリエント博物館で開催した研究会において、それぞれの資料調査に基づく研究報告を発表してもらった。また、研究分担者は当該研究課題に関連する学会発表などを、各自の責任において実施した。研究代表者は、古代西アジアにおける「孤児と寡婦」の研究に引き続き、子供の扱いに関する古代オリエントの文書資料等に基づく研究発表をおこなった。それと関連して、研究協力者岩嵜大悟氏(関西学院大学)に依頼し、古代における「小児供儀」に関する研究発表を行ってもらった。それらと並んで、研究代表者のもとでは、代表者の研究室(上智大学)を中心にして、2名の研究協力者宮崎修二氏と坂大真太郎氏に、古代パレスチナの文献資料および考古資料の収集と分析を進めてもらうとともに、もう1名の研究協力者江原聡子氏には初期イスラーム期の福祉に関わる文献資料調査を実施してもらった。 以上の研究は、2020年度に予定する研究論文集に向けて、最終2019年度の研究会でそれぞれ精度を高めた研究成果発表につなげてゆくことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究分担者および研究協力者による当該研究課題に関わる資料収集、研究課題への取り組みは全体として順調に進んでいる。 なかでも、古代の神話、養子縁組契約、さらに結婚契約などを記した文書資料を「宗教と福祉」という観点から読み直すことによって、古代西アジアにおいては、社会的に弱い立場におかれた人々、身体に障害を抱えた人々に対する保護という観点が、法の面でも社会慣習の点でも、予想以上に浸透していたことが判明しつつあるといってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
上の進捗状況をかんがみると、神話および法的文書等の文献調査による資料に関し、その内容が考古学資料によって裏付けられる必要があるが、本研究課題である「宗教と福祉」に関する考古資料の収集と確認が方法論的に難しいことが明らかになってきた。2019年度は、とくに考古資料の「解読」という点に留意し、考古学班の研究進展に期待したい。それとともに、本課題研究を総括し、2020年度に予定している学術論文集の刊行に向けて、各分野の分担研究者に各自の研究成果を発表してもらい、相互に批判検討する機会を設けたい。
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Research Products
(12 results)