2017 Fiscal Year Annual Research Report
荒川修作+マドリン・ギンズ遺稿データベース構築にもとづく天命反転思想の研究
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17H02289
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
三村 尚彦 関西大学, 文学部, 教授 (10309205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村川 治彦 関西大学, 人間健康学部, 教授 (20527105)
小室 弘毅 関西大学, 人間健康学部, 准教授 (30551709)
門林 岳史 関西大学, 文学部, 准教授 (60396835)
染谷 昌義 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (60422367)
稲垣 諭 東洋大学, 文学部, 教授 (80449256)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 荒川修作 / 現代アート / 身体論 / 建築 / 天命反転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代美術家の荒川修作と詩人のマドリン・ギンズが提唱した「建築する身体」「天命反転」という思想を、彼らの遺稿データベースを構築することを通して、哲学、心理学、教育学、メディア論、心身統合論など、学際的な観点から考察することを目的としている。 平成29年度は、共同の活動として、2回(5月と11月)ニューヨーク荒川+ギンズ研究財団RDF(Reversible Destiny Foundation)を訪問し、遺稿の調査とデータベース構築に関する打ち合わせ、各メンバーの研究紹介プレゼンテーションを行った。遺稿著作権に関する協議は、RDFの事情で最終的な合意は来年度以降に持ち越しとなったが、遺稿調査によって、いくつかの新しい事実が明らかとなった。三村の担当研究テーマである哲学者Gendlinと荒川+ギンズの関係について詳細な遺稿原稿、ノートを発見しデジタル化した。また染谷の担当研究テーマであるGibsonの生態学的心理学との関係についても、荒川+ギンズによる書き込みのあるGibsonの論文コピーなどが見つかった。その他、村川・小室・稲垣の研究テーマ-に関係するボディワーク関係の論文・資料の存在も明らかになった。デジタルデータベースに関しては、荒川+ギンズ東京事務所が所有している荒川の書簡資料のデジタル化を進めるとともに、書誌情報の検索システムパイロット版を作成した。 遺稿資料調査以外では、三村、稲垣、染谷、門林が2017年7月に表象文化論学会第12回研究大会にて研究パネルを開催し、多くの聴衆を巻き込んで荒川+ギンズ研究の今後について議論を深められた。また関西大学東西学術研究所との共催で、アーカイブ研究をテーマにした研究会(9月)、荒川+ギンズの映画作品“For Example”に関する研究会(12月、2018年3月)などを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺稿を所有しているニューヨーク荒川+ギンズ財団RDFの内部事情もあり、遺稿公開など権利関係の協議が平成30年度に持ち越され、その点では研究計画に多少の遅れが生じてはいる。しかし遺稿データの調査そのものは順調に進んでおり、またデジタルデータベース構築に関しても、研究の概要に記したとおりパイロット版の作成など順調に進展しており、「おおむね順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、RDFとの協議で今後の遺稿研究および公開に関して合意を得るとともに、デジタルデータベース構築の作業をさらに進める。すでに入手した遺稿データにもとづく成果発表を、数回の研究会開催によって行っていく予定である。さらに荒川+ギンズの著書“Architectural body“の翻訳出版を予定している。
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