2020 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02299
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大久保 清朗 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (00624719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 健太郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (50837250)
木下 千花 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (60589612)
三浦 哲哉 青山学院大学, 文学部, 准教授 (70711844)
伊津野 知多 日本映画大学, 映画学部, 准教授 (80308147)
堀 潤之 関西大学, 文学部, 教授 (80388412)
角井 誠 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (90803122)
野崎 歓 放送大学, 教養学部, 教授 (60218310)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年前にフランスで刊行された『アンドレ・バザン全集』によって、バザンの批評の全貌が明らかになった。とはいえ膨大なテクスト作全体を鳥瞰する全体的総括を行うことは難しく、研究者の関心に基づき、「不純なバザンのために」というタイトルのもと、これまで知られてこなかったバザンの批評テーマを素描することによって、潜在的な可能性を浮き彫りにすることに努めた。その研究テーマは、アニメーション、テレビ、そして収容所映画である。撮影される対象の機械的複製を重視するバザンのリアリズムにおいて、描かれた物質的な側面を重視するアニメーション論、近年注目されつつあるバザンのテレビ批評をやはりリアリズムの観点から考察するテレビ論、さらに第2世界大戦における強制収容所をめぐる映画にリアリズムの臨界点を見出す収容所映画論(小特集)、これらのテーマについて、『アンドレ・バザン研究』第5号として刊行した。 角井誠は解題として「リアリズムから遠く離れて――アンドレ・バザンのアニメーション論」を執筆し、「アニメーション映画は生き返る」「倫理的リズムあるいは九去法」「ペリの危機」を翻訳した。 伊津野知多は解題として「不純な存在への賭け――バザンとテレビ」を執筆し、バザンの 「永遠についてのルポルタージュ――『ロダン美術館訪問』」、「映画館よりテレビ向きの映画もある」、「テレビの美学的な未来――テレビは最も人間的な機械芸術だ」、「テレビ、誠実さ、自由」を翻訳した。 堀潤之は解題として「リアリズムの臨界――バザンと収容所映画」を執筆し、「『最後の宿営地』」、「収容所的ゲットー――『長い旅路』」、「『夜と霧』」を翻訳した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍にともなう諸活動の制約や、新しい生活様式への順応などにより、研究活動ははかばかしくはいかなかった。次年度に向けて予定されていた活動内容も修正を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインによって可能となるさまざまな活動の方向性が明確になりつつあり、最終年度に向けての方針の修正を加えながら遂行していく。オンラインのメリットを取りこみ、より緊密な検討をオンラインで行い、密度の濃い研究を遂行していく。最終年度になる2021年度は、これまでの研究会誌の総括となるものを刊行する。
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Research Products
(16 results)