2017 Fiscal Year Annual Research Report
近世中後期上方文壇における人的交流と文芸生成の〈場〉
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17H02310
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯倉 洋一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40176037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛田 帝子 (飯倉帝子) 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (40531702)
勢田 道生 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40580668)
山本 嘉孝 大阪大学, 文学研究科, 講師 (40783626)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人的交流 / 小沢蘆庵 / 光格天皇 / 妙法院宮 / 上方文壇 / 高橋図南 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世中後期京都歌壇の人的交流の重要な事例として、妙法院宮真仁法親王が多くの地下歌人・絵師を妙法院に招いて一種のサロンを形成していたことが挙げられるが、その具体的検証として真仁法親王時代の『妙法院日次記』に見られる人的交流について、データベースを作成した。これを用いて、飯倉洋一が真仁法親王の和歌交流について、その師系を明らかにするなどの実績を上げた。また小沢蘆庵の自筆本『六帖詠藻』を用いて、蘆庵社中の人的交流についてのデータベース作成に取りかかった。光格天皇と漢詩人・歌人との交流については、盛田帝子と山本嘉孝が調査を進め、盛田は光格天皇歌壇史年表を作成中であり、部分的には公表している。京都上賀茂の山本家においてその所蔵資料を調査し、目録を8割方作成できた。これと関わって勢田道生が高橋図南を具体例に有職故実の学問における人的交流について研究を進めた。また3月には、第1回研究会を青山英正・菱岡憲司両氏をゲスト発表者として招き、盛田・勢田とともに4つの発表と質疑を行うなお、本科研の成果として開催し、光格天皇およびその周辺の人的交流についての論集作成を目指したが、2017年度中に出版できなかったため、その費用に相当する分を翌年度に繰り越すこととなった。論集は『文化史のなかの光格天皇 朝儀復興を支えた文芸ネットワーク』(勉誠出版)として、2019年5月に完成し、藤田覚をはじめとするゲストを含め全部で19名の論考を収録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論集『文化史のなかの光格天皇 朝儀再興を支えた文芸ネットワーク』(勉誠出版)の出版が、2ヶ月程度遅延したとはいえ、予想を上回る充実した論考群を収録できた。また研究の基盤となる、二つのデータベースについて、着々と作成が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
①上賀茂山本家所蔵資料データベースおよび撮影資料の整理、②妙法院宮真仁法親王サロンの人的交流についてのデータベース、③小沢蘆庵自筆『六帖詠藻』の人的交流と〈場〉という3種のデータベース作成の作業を進める。 雅文学のみならず、俗文学における人的交流と〈場〉の問題にも研究を展開したい。名所図会・絵本読本らがその手がかりになると考えている。
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Research Products
(6 results)