2017 Fiscal Year Annual Research Report
A comprehensive study on the marks and development of Italian Neo-Avant-Garde
Project/Area Number |
17H02323
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
土肥 秀行 立命館大学, 文学部, 准教授 (40334271)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 聖子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員 (10795230)
和田 忠彦 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50158698)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 新前衛派 / モダニズム / 前衛 / 未来派 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の土肥は、ローマを研究拠点としつつ、各地で研究活動を行った。国立近現代図書館および国立中央図書館にて20世紀初頭と第一次大戦時の文化状況についての書籍、雑誌論文を参照しつつ、数本の研究発表と論考を執筆する。市立マルコーニ図書館の協力を得て、現代詩人ペンナ、カプローニ、ダルバの蔵書と書き込みについて調査を行う。研究協力者であるローマ大学チェチリア・ベッロ講師とともに、2018年2月開催の現代イタリア文学セミナー(歴史的前衛が中心)に向けた共同研究を進める。ローマ大学「20世紀文庫」所蔵の本・雑誌、資料を利用し、文献学的アプローチを試みる研究である。このセミナーでは、土肥のほか、研究分担者の和田氏と石田氏も発表を行った。ローマ大学フランコ・ディンティノ教授とともに、イタリア外におけるレオパルディ受容について調査し、2018年2月開催のレオパルディ研究会にて発表する。 加えて、ローマ外でも、研究活動を行った。2018年5月にはナポリ東洋大学にて研究分担者・和田氏と土肥が会合する。同7月にはフォッジャ大学にて、招待により土肥が19世紀末の日伊文化・文学交流について講演する。同9月にはアルゼンチンのトゥクマン大学でのアルゼンチン・イタリア文学会にて、20世紀詩についての招待講演を行う。同11月にはピサ大学でのパゾリーニ『石油』国際シンポジウムで『石油』の翻訳法について発表する。同12月には京都外国語大学における関西イタリア学研究会で、「作家の本棚」について発表する。2018年2月レッジョ・カラブリア外国人大学での日本=イタリア研究者シンポジウムでは、土肥のほか、研究分担者の和田氏と石田氏も発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
途中経過を示す書物・論文が量と質ともに充実した初年度であった。まず2017年5月発表の、研究代表者・土肥の共編著『教養のイタリア近現代史』(ミネルヴァ書房)では20世紀前衛美術についての戦前と戦後の項を設け、それぞれの執筆者である巖谷氏(2018年度からは研究分担者となる予定)、池野氏と、ローマ大学資料との関連で深く議論ができた。分担者・和田氏が発表した翻訳タブッキ『とるにたらないちいさないきちがい』(河出書房新社)について、20世紀前衛文学の典型的テーマである「誤読」、「差異」に関わる、1980年代半ばにおけるポストモダン的解釈をふりかえることができた。土肥「アルゼンチンのマローネ文庫」(伊語論文)では、歴史的前衛の文脈において詩と文学理論を、地方を拠点としつつ牽引したゲラルド・マローネの失われた資料を追う調査について報告できた。論集『モダニズムを俯瞰する』(中央大学出版、2018年3月)に収められた土肥論文「イタリア・モダニズム再考」では、歴史的前衛への反動ともいえる「規律への回帰」がはらむ、なおも前衛的な契機と、古典主義的な契機について、新たな知見をもとに見なおすことができた。アルゼンチンでの土肥による講演を元にした「イタリアと日本の現代詩における海のパラドクス」(伊語論文、論集作成中)では、戦後前衛詩とも関わりが深い詩人サンドロ・ペンナとジョルジョ・カプローニを文脈づけることができた。さらに土肥論文「パゾリーニのフリウリ語詩和訳における諸問題」(伊語論文、論集作成中)では、20世紀前半の詩論について重要な役割を果たした翻訳について実践的に論じている。また和田氏の評論集『遠まわりして聴く』(書肆山田)について、土肥は書評(『現代詩手帖』2018/3)にて、イタリアの戦前と戦後の前衛に対する日本からの言説を分析できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究分担者として巖谷睦月氏を新たに迎える予定である。引き続き一次資料収集を薦める。手稿や初版本といった入手困難な書籍や初出雑誌の複写は土肥・和田が担当、映像・音源資料の収集は石田・巖谷が担当する。また研究者ネットワーク拡充する。既に親交のあるローマ大学とボローニャ大学を在外拠点とし国内外に拡充、土肥・和田が担当する。当事者・関係者の証言収集として、Barilli, Balestrini, Bernardini等へのインタビューを和田が行う。研究成果の社会的還元と研究者間の情報交換の活性化を目的に、HPを「イタリア新前衛派アーカイブ」としても機能させつつ、積極的公開を恒常的に実施していくが、土肥・石田が担当する。国際ワークショップおよび国際シンポジウムの準備と開催を試みる。土肥・和田・石田・巖谷が担当する。6月には、初来日するグイード・サンタート元パドヴァ大学教授と講演会(3度)行う予定である(土肥が担当)。ローマ大学Cecilia Bello講師の来日も調整する(土肥・和田が担当)。学術専門誌・文芸誌紙(il Verri、Poetiche等およびその他Online Journal)上での成果発表を行う。これは土肥・和田・石田・巖谷が担当する。加えてAvanguardia(ローマ大学編)にも投稿していく(土肥が担当)。また2018年2月に行われた国際シンポジウム(2種)について、それぞれ論集を伊語で編んでいく(土肥が担当)。
|
Research Products
(21 results)