2019 Fiscal Year Annual Research Report
Waqf and Donation in Asia: A Joint International Study
Project/Area Number |
17H02381
|
Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
三浦 徹 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (00199952)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 大介 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20508907)
林 佳世子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30208615)
磯貝 健一 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (40351259)
大河原 知樹 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (60374980)
大月 康弘 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70223873)
岸本 美緒 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (80126135)
高橋 一樹 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80300680)
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 寄進 / ワクフ / 都市 / 慈善 / 公益 / 比較研究 / 生死 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立シンガポール大学アジア研究所との共催により、比較の視点からの国際研究集会として、Cross-cultural and Comparative Study of Donation, Endowment and Benefitを開催した(2020年2月12日ー13日)。 4つの論点を提示したうえで(①死にそなえる:現世から来世へ 財の相続・共有②寄進の正当化・制度化:個人として、集団(家族)として、社会として③機能・管理 規範(理念)と実態④変化と交流)、日本、中国、東南アジア、南アジア、中東・イスラーム、ヨーロッパ・キリスト教世界の6つの地域(文化)圏の地域間・文化間比較によって、通底する問題と相違点を明らかにすることを目的とした。 研究発表者は、日本(東洋文庫)側から5名(神野潔、杉山隆一、松原健太郎ほか)、ベルリン大学の寄進研究グループから3名(Zachary Chitwoodほか)、インドから1名、国立シンガポール大学から3名をえて、双方の代表者である三浦徹とKenneth Deanが基調報告および総括コメントを行った。現代のシンガポールにおける中国人の慈善同胞団体の活動の調査報告はヴィヴィドな情報に冨み、歴史研究にも示唆を与えるものであった。ヨーロッパの研究者にとって、日本、中国、東南アジアの現地研究者の発表を聞く機会は少なく、大きな刺激となった。 2月上旬から、シンガポールでは新型コロナウイルス感染防止のガイドラインが実施され、一般参加者の数は限られたが、それでも30名の参加者をえて、集中的な討論を行った。発表の一部は、Journal of Endowment Studies(Brill)に寄稿される。 2020年度は、この成果を踏まえた統括的な研究集会を東京(東洋文庫)で開催する。その準備として、諸地域の寄進と慈善に関する主要な資料(研究書)の収集を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、人類史における寄進(寄付)という行為の意味と役割を、アジアの事例の比較研究から問題を提起することを目的としている。2019年度は、4つの観点(財の継承、正当化・制度化、規範と実態、変化と交流)を提示したうえで、日本、中国、東南アジア、南アジア、中東、ヨーロッパの専門研究者がシンガポールに集合し、地域間比較の観点から、研究発表と討論を行った。共催機関である国立シンガポール大学アジア研究所では、2016年にMuslim Endowment in Asiaというシンポジウムを開催し、その後もシンガポールや中国における寄進や慈善団体の資料調査を行っており、実のある研究交流を行うことができた。2017年度の国際イスラーム大学(クアラルンプール)、18年度のベルリン研究グループの招聘等によって、国際的な研究者のネットワークはさらに拡大・強化している。2020年度も、当該研究所と連携し、東京(東洋文庫)において、総括的な研究集会を開催することについて合意している。 シンガポールでの研究集会のプログラムと要旨は、下記のサイトに掲載されている。https://ari.nus.edu.sg/events/donation-endowment-and-benefit/
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)2020年度に総括的な研究集会を、海外の研究者・研究機関と連携し、東京(東洋文庫)で開催し、本研究のまとめと課題を提示する。 (2)本研究によって拡大した研究者ネットワークの研究成果の交流を深化させるために、専門誌であるJournal of Endowment Studiesに寄稿するとともに、「寄進の地域・文化間比較」を主題とする論集を英語で刊行する準備を行う。 (3)寄進行為は、人間が死に、死後にどのように備えるかという問題に深く結び付いている。本研究では、これまで、社会経済的側面に焦点をあててきたが、このような宗教文化の問題についての論点をとりこんでいく。
|