2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H02386
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
胡 光 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50612644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 賢二 徳島県立博物館, その他部局等, 課長 (00372227)
守田 逸人 香川大学, 教育学部, 准教授 (10434250)
西 耕生 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30259452)
小幡 尚 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (30335913)
寺内 浩 愛媛大学, 法文学部, 教授 (40202189)
モートン 常慈 徳島大学, 教養教育院, 准教授 (40469333)
松永 友和 徳島県立博物館, その他部局等, 主任 (40610316)
大石 雅章 鳴門教育大学, その他部局等, 副学長・教授 (50152046)
竹川 郁雄 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60236445)
町田 哲 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60380135)
中川 未来 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (60757631)
川岡 勉 愛媛大学, 教育学部, 教授 (90186057)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 四国遍路の形成 / 学際的総合調査 / 霊場論 / 地域歴史資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)4月14日、愛媛大学で公開講演会を行い、「四国遍路の世界発信」について、モートン常慈(徳島大学)・胡光(愛媛大学)の報告を行った。7月29 日、公開研究会を行い、寺内浩(愛媛大学)・町田哲(鳴門教育大学)が空海や民衆の実像について報告した。仙龍寺への現地研修は台風のため中止した。 2)10月27・28日、愛媛大学にて講演会・シンポジウム等を行い、研究の進展と市民への成果公開を図った。今年度の特集テーマを「巡礼の諸相―四国遍路への影響と展開」とし、小嶋博巳(ノートルダム清心女子大学)の基調講演を軸に、胡光・山口由等(愛媛大学)・田井静明(瀬戸内海歴史民俗資料館)も登壇し、議論を深め、西耕生ほかの個別報告も行った。 その成果は『四国遍路と世界の巡礼』4号に掲載した。 3)夏季休業・春期休業期間を中心に「霊場」の学際的総合調査を集中的に行った。今年度は、75番善通寺(香川県善通寺市)、浄明院(愛媛県松山市)、大洲八幡神社(愛媛県大洲市)、金胎廃寺・三崎八幡神社(愛媛県伊方町)等の調査を実施し、札所とそれ以外の霊場についての比較研究により、札所成立過程解明への端緒を開いた。次年度の調査に向けて、地蔵寺(徳島県小松島市)の予備調査も行った。 4)四国の「霊場」以外にも、四国遍路道の景観や宿の現状調査、知多半島や小豆島の移し霊場調査、俵札やアンケートによる遍路の実態調査などを実施した。西日本豪雨で遍路統制文書を含む旧立間村文書(宇和島市)が被災したため、救出活動を行い、修復と内容調査を実施した。 5)愛媛大学ミュージアムにおいて、8月1日から1月8日まで「明治維新150年・明治時代の四国遍路展」を企画し、金胎廃寺で発見した愛媛県最古の遍路日記など最新の研究成果を展示公開した。愛媛県歴史文化博物館でも4月8日まで、特別展「研究最前線四国遍路と愛媛の霊場」で合同研究の成果が公開された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)今年度は、大洲八幡神社(愛媛県大洲市)の調査を通年で行い、調査をおおむね終了した。近世・近代の祭礼文書が大量に発見され、祭礼の変遷が解明された。同社は空海が修行したという出石寺の場所にあったと伝わるが、文書でも確認でき、現在の大洲総鎮守ではなく喜多郡総鎮守と呼ばれていたことも判明した。次年度には報告書を刊行する予定である。ほかに調査を行った75番善通寺(香川県善通寺市)、浄明院(愛媛県松山市)、三崎八幡神社(愛媛県伊方町)については、膨大な資料が確認されたため、調査を継続中である。昨年度調査を終了した久妙寺(愛媛県西条市)で新たな資料が発見されたため、次年度に補足調査を実施する。また、番外札所地蔵寺(徳島県小松島市)の予備調査を行い、仏像・仏画を確認した。次年度に総合調査を実施したい。 2)霊場周辺に関わるものとして、現在の遍路へのアンケート調査や遍路が奉納した納札(俵札)の調査も継続している。新たに遍路宿へのアンケート調査も行い、遍路の実態を明らかとし、マスコミからの注目も集めた。ほかに、小豆島や知多半島の移し霊場調査も実施した。 3)計画通り、研究会を開催し、公開講演会等では400名以上の市民を集め、成果を公開できた。愛媛大学と愛媛県歴史文化博物館の展示でも最新の研究成果が公開され、多くの観覧者を集めた。研究会時の現地研修は、台風で中止されたため、今後実施したい。 4)特定のテーマを設け、集中的に四国遍路の研究を進め、多くの論文を刊行し、学会報告・講演などを行うことができた。 5)オール四国体制での調査・研究を目指し、実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)歴史学、国文学、考古学、民俗学、地理学、社会学、美術史など数多くの学問分野の研究者を結集し、各自の専門性を活かしながら連携して「霊場」の学際的 総合的な調査研究を進める。整理した諸資料はデータベース化し、広く研究に活用できるようにする。調査対象地は、75番札所善通寺(香川県善通寺市)、浄明院(愛媛県松山市)、大洲八幡神社(愛媛県大洲市)、三崎八幡神社(愛媛県伊方町)、久妙寺(愛媛県西条市)について調査を継続する。43番札所明石寺(愛媛県西予市)、地蔵寺(徳島県小松島市)の調査を新たに実施する。他にも霊場と交渉の上、調査研究を展開する。 2)霊場周辺に関わる、遍路へのアンケート調査、遍路の納札調査などを継続し、遍路の実態や地域との関係を明らかにする。 3)年2回、全メンバーによる研究会・シンポジウム等を開催し、調査結果を検討するとともに、論点に基づき霊場の歴史について徹底した議論を行う(一般にも公開)。報告内容を論文化し、刊行する。ほかに四国4県と共催して、四国遍路に関わる国際シンポジウムを愛媛大学で行う。 4)大学ミュージアムにおいて、愛媛県と共同で最新の研究成果を広く公開する。大学外の博物館でも、展示や研究の要望があれば、協力する。
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Research Products
(54 results)