2019 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02392
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大橋 幸泰 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30386544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 有子 (清水有子) 明治大学, 文学部, 専任准教授 (00727927)
平岡 隆二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10637622)
岸本 恵実 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50324877)
折井 善果 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (80453869)
牧野 元紀 昭和女子大学, 人間文化学部, 准教授 (80569187)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | キリシタン / 異文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度も前年度に引き続き、世界各地に散在しているキリシタン関係史料の調査を進め、科研メンバーの研究課題に有益な成果が得られた。 ポルトガルのアジュダ図書館・エヴォラ公共図書館における調査では、キリシタンが殉教者として認定されるために必要とされた情報・証言の史料や、イエズス会日本管区代表プロクラドールの関係史料を見いだした。スペインの王立アカデミー図書館における調査では、「鎖国」へ向かう時期の日本の殉教報告、教皇への書翰の作成に関する史料、ヨーロッパで日本布教をめぐる主導権争いの史料などを発見した。 国内では、国立公文書館のほか、高知・長崎・大分・天草などで調査を行い、キリシタン禁制関係の史料を採集した。これにより、キリシタン禁制政策を維持する宗門改・類族改の実情を明らかにできる。 ただし、年が明け新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月の調査が不可能になった。そのため、一部の予算を2020年度に繰り越し、調査予定を繰り延べた。 一方、2019年度で特筆するべき点は、6月22日にシンポジウム「近世東アジアにおけるキリシタンの受容と弾圧」を早稲田大学で開催したことである。清水有子「日本におけるキリシタン禁令の成立過程―正親町天皇の永禄8年京都追放令を中心に―」、マルタン・ノゲラ・ラモス「失われたキリシタン民衆の声を求めて―島原天草一揆後の排耶書を中心に―」、ピエール・エマニュエル・ルー「日本から中国までの禁教―清代の絵踏を中心に―」、牧野元紀「近世ベトナムにおけるキリシタンの受容と弾圧」の4本の報告と、三野行徳「支配・統治の仕組みとしてのキリシタン禁制・弾圧を考える」の1本のコメントを用意し、近世東アジアのキリシタンをめぐる対応について、共通点・差異点を議論した。50人以上の参加者を得て、有意義な討論ができたと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度最後の2020年3月を除いて、国内外へ史料調査に出かけることができたので、おおむね調査は順調である。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月に予定していた調査は不可能となり、一部を2020年度へ繰り越さなければならなかった。そのため、史料収集が若干、不十分であると感じる。 また、本科研の中間報告であるシンポジウムを2019年6月22日に開催したことにより、これまでの成果と課題を共有することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、世界各地に残るキリシタン関係史料の収集に努めるとともに、まとめの作業に入る。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、十分な史料調査が行える環境にないが、これまで収集した史料の分析を進めながら、ヨーロッパとアジアとの関係を意識し、その関係を総体的に把握することを目指す。その上で、まとめのシンポジウムを開催するとともに、共同研究の成果としての論集を刊行をする。
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Research Products
(13 results)