2018 Fiscal Year Annual Research Report
学際的手法による中・近世日本のサルファーラッシュ・シルバーラッシュの比較総合研究
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17H02394
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
鹿毛 敏夫 名古屋学院大学, 国際文化学部, 教授 (60413853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 晋次 神戸女子大学, 文学部, 教授 (20403024)
伊藤 幸司 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (30364128)
中島 楽章 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (10332850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 硫黄 / 銀 / 硝石 / 流通 / 中世史 / 同位体比 / 学際研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の今年度も、昨年度同様、研究ユニットは5分割した個別考察班を基本単位としたが、本研究では班相互の調査連携と分析結果の比較・総合を重視するため、全構成員による「重点共同調査」を適宜実施し、かつ、代表者は各ユニットの進捗状況の調整と全体統括に特に留意した。 「硫黄」考察班は、中・近世の国内産硫黄の生産と流通ルートの解明と、アジアの海域ルートに連なる国際的流通構造の解明をめざした。「銀」考察班は、中・近世の国内産銀の生産と流通ルートの解明、および東アジア~東南アジア海域における日本銀と新大陸銀の国際的流通構造の解明をめざした。また、世界の産銀地域における「計屋」等の関連生業発生の実態とそのメカニズムの分析を行った。「硝石」考察班が考察する硝石については、その産地と流通に関してこれまでほとんど学術的解明がなされていない。そこで本研究では、11~18世紀の幅広い期間におけるアジアの火薬原料としての硝石の全体的流通状況の解明をめざした。「同位体比解析」班では、火薬原料の硝石と鉛がセットで輸入されたのではとの作業仮説を立てて、中国南部~東南アジア産硝石の標本蒐集を進めるとともに、国内産の硫黄と硝石についてもより幅広くデータ蒐集を進め、同位体比解析と理化学的考察を行った。「考古」班では、大分・島根・大阪の各教育委員会文化財課・博物館の考古学研究者を協力者として迎え、現地における遺物調査やデータ蒐集を行い、共同踏査を推進した。 共同調査は、10月に島根、および2月にカンボジアで実施した。また、11月に硫黄の東アジア流通に関する中間成果報告会および全体会議を名古屋で開催し、特に中間成果報告の内容は一般公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンボジア調査ではアポイントをとっていた博物館において当日キャンセルで史料閲覧ができない不測の事態が生じたが、調査全体としては有効な成果を得ることができた。全般としても、ほぼ順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(4年目)の研究成果のまとめに向けて、各個別考察班の研究集約の推進を図っていく。特に、考察が遅れている班については、研究協力者の人員補強も行いながら全体調整を進めていく。
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