2019 Fiscal Year Annual Research Report
Religious and socio-historic research on genealogy of Genius loci concept and accumulation of memory in Europe
Project/Area Number |
17H02404
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
立石 博高 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (00137027)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 暁夫 日本女子大学, 文学部, 教授 (00186264)
篠原 琢 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20251564)
千葉 敏之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20345242)
金井 光太朗 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (40143523)
相馬 保夫 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (90206673)
林 佳世子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30208615)
伊東 剛史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (10611080)
小野寺 拓也 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (20708193)
久米 順子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60570645)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 地霊論 / ヨーロッパ史 / 記憶論 / スペイン史 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画「ヨーロッパにおける地霊論の系譜と記憶の積層化に関する宗教社会史的研究」は,人間の土地に対する執拗な情念(パトス)こそが歴史の重要な動因であるとの認識に立ち、ヨーロッパの歴史社会を対象に、この「土地への情念」と社会構造や歴史展開との因果関係を,地霊論(ゲニウス・ロキ)という思想の系譜を掘り起こしつつ,追究しようとするものである。4年間の研究期間を通じて,ヨーロッパにおける地霊論の系譜と時代ごとの特質を跡づけつつ,地霊の形成過程・社会的機能を解明する。その際,異なる出自を持つ国や民族、社会や文化が代わる代わる統治し,複数の記憶が積層する場を多層記憶的地点と定義し,記憶の積層化・集約化のメカニズム、巡礼や周年記念的祝祭,これらの地点に発生した紛争・暴動といった事件を地霊学の観点から再解釈することを目指す。 3年目にあたる令和元年度は、過去2年間の研究成果をもとに、実地調査と国際ワークショップを組み合わせた企画をスペインのマドリード及びムルシア(9月11日~15日)で行なった。マドリード放送大学では、Genius loci and accumulation of memoriesと題する国際会議を組織し、“Recapturing Jewish sites in Czech Republic and Central Europe”と題する報告を行った。ムルシア、シエサでは主にイスラーム期の遺構と現代におけるその表象に焦点をあてて調査を行った。考古学調査については、現地で調査を実行しているフリオ・ナバーロ博士のレクチャーを受けた。カルタヘーナでは、ローマ期の遺構が、現在の都市の記憶の中核に位置付けられつつある実態を確認した。ムルシアでのイスラーム期の遺構とカルタヘーナでのローマ期の遺構の調査実態、文化資産としての活用について、比較の視点が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2年間の研究成果を踏まえ、マドリードで国際ワークショップを開催し、研究成果を問うとともに、スペインの研究者との間で有益な意見交換を交わすことができた。また、ムルシア、カルタヘナといった都市での遺構や博物館での実地調査では、現地の責任者による詳細なレクチャーを受けつつ、意見交換を行うとともに、本研究計画のメンバーで多くの認識を共有することができた。2020年1月以降は新型コロナ蔓延のため、予定していた国内研究会を開催することはできなかったが、各自が研究成果を分析し、各種媒体で公表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究計画の最終年度に当たり、その成果を総括するための国際ワークショップを予定していたが、新型コロナの蔓延を受け、当初計画通りの実施が困難な状況になっている。新型コロナウィルスをめぐる今後の世界情勢を見究めながら、海外調査・国際ワークショップの実現可能性を模索するとともに、これまでの研究分担者個々の研究成果を統合し、それを公表するための具体的な方法(オンライン研究会の開催など)も検討し、本研究計画について着実な成果をえるための年度としたい。
|
Research Products
(47 results)