2018 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴かつ葛藤する闘争―公民権運動の相対化による1960年代の社会運動分析―
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17H02409
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Research Institution | Urawa University |
Principal Investigator |
岩本 裕子 浦和大学, 人間学部, 教授 (40279592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 緑 島根大学, 学術研究院人間科学系, 教授 (00325432)
佐藤 千登勢 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70309863)
北 美幸 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (80347674)
土屋 和代 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60555621)
兼子 歩 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (80464692)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公民権運動 / 人種 / ジェンダー / 宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究計画とした在外研究と講師招聘による研究会開催は、代表者と分担者5名の6名によって十分に遂行でき、次年度の研究につなぐことができたので、以下に概要を記す。。 まずアメリカにおける文献・資料調査を実施し、各自の分担する社会運動の詳細を明らかにするという計画は、今年度は6人のうちまず3人(岩本、佐藤、兼子)が実行した。代表者の岩本はワシントンでは国会図書館手書き文書館でNannie Helen Burroughs Papers、ハワード大学文書館でAnna Julia Cooper Papers を読み、ニューヨークへ移動してNY公立図書館ハーレム分館Schomburg Center にてテーマに即した史料収集を行った。佐藤は労働運動、カトリック・ワーカー・ムーブメントをテーマとし、当初の国会図書館での史料収集を変更して、シカゴで史料収集、バンクーバーで開催されたテーマに関連した学会に参加し、研究発表をした。兼子も当初の予定地を変更して、サンフランシスコ公立図書館、カリフォルニア大学バークレー校、サンノゼ州立大学図書館で史料収集を行った。3人は帰国後、各自の調査結果レポートをメーリングリストに送ってメンバーと情報を共有した上で、年度末に予定した研究会に臨んだ。 年度末に予定した研究会は、5人全員(北は在外研究中のため欠席)が参加する日程を選べす、2回に分けてメンバーは4人ずつ集まった。2月3日と3月24日で、いずれも午前中はメンバーのみによる1年間の研究実績報告会、午後は講師を招聘して研究会を行った。研究会の詳細については、「現在までの進捗状況」で具体的に説明する。 在外研究中の北は、滞在中のニューヨーク州から3月にイタリアで開催された学会に参加して、本研究関連の研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」で述べたとおり、平成30年度の研究計画に従って、予定通り研究を進めることができた。 2月3日(土屋と北は欠席)と3月24日(兼子と北は欠席)に開催した2回の研究会に関して、以下に具体的に報告する。前者では宮田伊知郞氏(埼玉大学)による「樹木による都市再生:1960年代後半におけるアトランタ女性商業会議所の活動に関する一考察」の発表をめぐる議論、後者では大橋稔氏(城西大学)による「アメリカ黒人女性作家が描くフェミニズムの問題」の発表をめぐる議論、と2回とも大変刺激的な内容で、我々のテーマにも新たな視点をもらうことになった。 前者では、アトランタを研究対象としているメンバーの西崎が積極的に質問することで、その場に参加できた5人全員で、大変活発な議論を行うことができた。後者では、文学研究者を講師に迎えた。参加者全員による議論の結果、黒人女性作家の中でも特に対象とされたノーベル賞作家トニ・モリソンが、作家として活動する契機となった時期と、アメリカ黒人史の時代的な状況を重ねて、彼女の作品の歴史的な意義を明らかにすることで、歴史研究に刺激的な位置づけができるのではないか、という結論に至った。 後者の講師は、共著の1章を担当することを快諾してくれたので、その執筆予定の詳細は「今後の研究の推進方策」で述べる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展しているので、このペースで予定を実行していきたい。特に4年間の共同研究を終えた翌年令和3年度(2021年度)に予定する共著出版に向けて、研究実績報告に書いた年度末に行った2回の研究会では、その内容に関しても具体的に話し合うことができた。メンバー6人に加えて、他の執筆者としては、昨年度講師の川島正樹氏(南山大学)、今年の大橋稔氏の2人の8人の作業となる。 各自1章分の論文を書く以外に、章間にコラムを書いてはどうかと、岩本が提案した。読者への啓発的なテーマについて話し合い、各自が利用している全米の史料館(文書館)の説明(設立理由、蔵書史料、場所など)を書くという案が本格的になっている。日本人若手研究者の今後の研究に向けて、啓発的な内容のコラムを書くことで認識を統一した。 具体的な原稿締切設定を東京オリンピック開会式前には、各自が草稿をメンバーに渡せるようにすることを決めた。平成30年度(2018年度)で在外研究を終えた3人は、令和元年度末(2019年度末)を予定した研究会で、その中間報告ができるよう原稿を書き始めることにした。令和元年度(2019年度)に渡米予定の3人については、具体的に原稿執筆を前提にした在外研究をするよう、メンバー内で確認をした。
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Research Products
(14 results)