2019 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴かつ葛藤する闘争―公民権運動の相対化による1960年代の社会運動分析―
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17H02409
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Research Institution | Urawa University |
Principal Investigator |
岩本 裕子 浦和大学, 人間学部, 教授 (40279592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 緑 島根大学, 学術研究院人間科学系, 教授 (00325432)
佐藤 千登勢 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70309863)
北 美幸 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (80347674)
土屋 和代 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60555621)
兼子 歩 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (80464692)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公民権運動 / 人種 / ジェンダー / 宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31(令和元)年度の研究計画は、メンバーのうち3名の在外研究、及びメンバーのみによる研究会開催だった。今年度、在外研究を予定したのは、西﨑と北、土屋の3人で、それぞれに実り多い在外研究ができた。幸い3人共に2月末までに予定を消化できたために、コロナ禍による悪影響を受けることなく、予算を順調に消化することができた。 もう一つ、メンバーのみによる研究会だが、年度末の3月15日(日)を予定していたが、都合が付かないメンバーが出たため、年度を超えた4月19日(日)に延期していた。ところが、コロナ禍の影響で4月開催も諦めるしかなく、今年度はメンバー6人研究会を実現できなかったことだけは残念だった。 6人それぞれの平成31年度研究実績概要を以下にまとめる。代表者の岩本は、2月末の10日間ニューヨーク公立図書館黒人分館(ションバーグセンター)に史料最終確認に出かけ、共著出版に必要な史料を最終確認ができた。西﨑は科研費を利用して1年に2回渡米することができた。2019年7月1日~12日にアトランタを訪問、2020年2月26日~3月2日ミシシッピ州ジャクソン市で調査する機会に恵まれた。佐藤は、昨年度の科研費による在外研究での成果をニューヨークで開催された学会で報告できた。この報告を手がかりに、共著出版に向けた論文作成を続けていく。 北は8月10日~23日に、ケンタッキー州ルイヴィルでの元・公民権運動家への聞き取り調査、さらにアメリカ・ユダヤ人文書館(オハイオ州シンシナティ)でエマ・ラザルス・ユダヤ女性クラブ連合に関する調査を行い、学会発表につなげた。土屋は2019年8月27日~9月4日にロスアンジェルスで史料調査を行い、現在論文執筆中である。兼子は、昨年度の科研費による「1950年代~1960年代のアメリカ合衆国における同性愛者の権利運動に関連した史料」の成果を整理、分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」で述べたとおり、平成31年度の研究計画に従って、6人それぞれの予定通り研究を進めることができた。4年計画の我々の共同研究は、無事三年目を終えて、最終目的とする「共著出版」に向けて最終段階に入る準備が整ったところである。 この3年間を振り返り、各自の進捗状況をまとめておく。まず代表者の岩本は、最初の2年間は外部講師3人を迎えてメンバーの研究動機に刺激を受けるよう配慮した。学会から依頼され日本アメリカ学会(2019)でSession Dの司会をすることで、本研究との連関を自覚した。西﨑は今年度在外研究予算を有効利用して、予定外の2月にミシシッピ州で史料収集できた。これは共著論文に大きな刺激となったはすである。佐藤は、昨年の在外研究成果を早速海外での学会発表に生かすことができた。 北は今年度前半の在外研究に十分な業績を積み、帰路アメリカでの史料収集や調査に充てた。成果は別項学会発表などの通りである。土屋は今年度在外研究予算に従って、ロスアンジェルスでの史料収集、調査を続けることができた。順調に論文執筆を始めている。兼子は、昨年度在外研究による史料収集が有効であることを、整理、分析することで確信している。共著出版に向けての執筆に期待できる。 以上、6人がそれぞれに3年間の共同研究を着実にこなしていて、4年目を迎えることができ、おおむね順調に進展していることは確かである。コロナ禍のため、4年目はメンバーの誰もが、アメリカへの史料収集、学会参加(発表)などは困難となるだろう。全く思いがけないことが起こるもので、なんとか当初立てた予定通り、我々の共同研究を続けられそうな現状に感謝している。最終年度が終了すぐ1年後には、共著の初校チェックが始まっている状況としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展しているので、このペースで予定を実行していきたい。特に4年間の共同研究を終えた翌年令和3年度(2021年度)に予定する共著出版に向けて、作業を開始しなければならない。メンバー6人に加えて、他の執筆者に川島正樹氏(南山大学)大橋稔氏の2人の8人の作業となる。各自1章分の論文を書く以外に、章間にコラムを書くことになっている。読者への啓発的なテーマとして、各自が利用している全米の史料館(文書館)の説明(設立理由、蔵書史料、場所など)を書く。日本人若手研究者の今後の研究に向けて、啓発的な内容のコラムを残したい。 昨年度の「推進方策」として具体的な原稿締切としていた「東京オリンピック開会式前」が叶わなくなったため、締切を9月末(後期開始時点)としたい。この報告書を書いている4月下旬時点で「緊急事態宣言」の元、大学は年度開始を延期されていて、早ければ5月でしかも「遠隔授業」となる。夏休みがなくなる可能性もあり、楽観はできないが、なんとか今年度の我々の研究課題の最優先事項として、共著出版を掲げ、各自の論文執筆に努めたい。 10月以降で、他のメンバーの原稿を読み合わせ、メールでの議論、あるいはネット会議などを企画して、対面での打ち合わせが困難な場合にも対処していきたい。事態収束の見込みもつかない現在ながら、もし可能であれば、年内に一度都内で集まって、最終打ち合わせをした後、2月には出版社(彩流社を予定)に原稿を渡せるようにしたい。この4年間の共同研究が終了するときには、メンバー各々の手元に初校ゲラが届いていることを念じている。
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Research Products
(9 results)