2018 Fiscal Year Annual Research Report
Social convention of Japanese Macaques: intensive and extensive approach
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17H02436
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 尚史 京都大学, 理学研究科, 教授 (70212082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 将敬 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (30737432)
中道 正之 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60183886)
下岡 ゆき子 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (70402782)
杉浦 秀樹 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (80314243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抱擁 / 代替行動 / 文化 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はニホンザルの社会行動の文化として最近知られるようになった抱擁行動をインテンシヴ、エクステンシヴな両方のアプローチから明らかにすることを目的としている。 まずインデンシブなアプローチとして今年度は、1)抱擁行動の見られる個体群においてその発達、代替行動、長期間の頻度の変遷、2)見られない個体群においてその代替行動の研究を行った。3方向からの抱擁が知られていた屋久島ウミA群を対象に研究協力者の田伏良幸がその発達を調べたところ、オトナになるにつれ、抱擁行動が生起する文脈としては収斂していくが、方向としては多様化することが分かり、新たに5パタンが追加された。中川は1984年以来断続的に収集してきた対面型抱擁のみ生起する金華山A群のデータを分析し、抱擁を伴わないリップスマックという表情が同じ文脈で生起していることからリップスマックが代替行動となっていること、研究協力者の疋田研一郎が収集した最近のデータも取り入れて解析し、抱擁の頻度が低下傾向にあることを明らかにした。他方、抱擁行動が数年前にごく一部の母子で見られ始めていたが、昨年度の調査で広く伝播していないことが分かった岡山県真庭市神庭の滝自然公園の勝山群を対象として、上野が抱擁の代替行動の調査を行った。オトナメスにおいて、リップスマックが76事例が観察された。分析の結果、リップスマックは抱擁行動同様、個体間の緊張を緩和する行動として使用されて、抱擁行動の代替行動として機能している可能性が示唆された。 次にエクステンシブ・アプローチとしては、抱擁行動の見られる個体群である屋久島において、昨年度に引き続き群間の変異を探るべく中川が2019年3月に調査を行った。8日間で7群の観察を行った結果、ミッフィー群で4例、カワハラA群とプチ群で各1例の抱擁が観察されたのみで、他の4群では一度も観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の実績報告で「今後の研究の推進方策」で書いたとおり、過去のデータの再分析、ならびに指導する大学院生の協力を仰ぐことで、成果も出始め数件の学会発表も行え順調といってよい進捗状況レベルにまで到達できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者、分担者自身による新たな調査、特にまだまだ不十分なエクステンシブ・アプローチとしての、屋久島での群間の抱擁行動パタンや頻度の変異の調査を推進する。さらには、もうひとつのエクステンシブ・アプローチとして当初から計画に組み込んでいるアンケート調査による社会行動の個体群間変異を目指して、その際用いる行動の映像アーカイブ構築に向けた映像収集の努力を活発化する。
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Research Products
(15 results)